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マンガ家Mの日常
親密という程の関係では全く無い。
個人的な話をするのはほぼ初めて。
仮にWとする。

Wは仕事一途な人生を送るうち、独身のまま来てしまった。
仕事で高い評価を得た女性には往々に結婚は困難になる。
釣り合いの取れた男性を見つけるのが困難なので。

順風満帆とも言える成果を得ていたが、数年前に大きな景気の落ち込みもあり、
業界の再編もあり、一線を退く決意をした。
蓄財でかねてより夢だったカフェを地元にオープンさせた。
しかし、畑違いの事業で、建築関係者は足元を見てやたらふっかけてくる。
コンサルタントも雇ってみたが、やはりお金を払わせたがるばかり。

元々飲食業というのは外食産業のデフレ現象もあって、利益が薄い。
それでも暫くは何とかやっていたが、
時悪しく起きた東北の大震災で皆が消費を控えるようになり、経営は更に落ち込み、
近隣の店共々、1年保たずに閉めざるを得なくなった。

数千万円を費やした夢は終わりを告げた。

以前の仕事の個人事務所は休眠させていたが、
カフェの設備のリース代金のチェックで、事務所の方の会計も見直すと、
400万円の流失が判明した。
会計を任せていた実の妹が無断で抜き取っていたのだった。
美容に執着する女性で、おそらくはプチ整形やエステに流れていったのだろう。
妹の婚家との関係等を気にして、実家の両親は被害者であるはずのWを退けた。

Wには個人の資産があり、生活に困る事は無い。
しかし、長く力を発揮してきた仕事を離れ、夢だったカフェも失敗し、
更には身近な妹にまで裏切られ、失意の底に落ち込んでしまった。

焦る気持ちで飛び込んだ教会で、心を救われ、
今は長年連れ添った老犬と穏やかに暮らしている。
知人には「家族からの卒業ですね。」と言われ、それもまた心に沁みたらしい。

より良く生きようと努力をする途上にも流転は待ち受けている。


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