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マンガ家Mの日常
最高裁の判決がどう出るのか。
国際的に見ると、夫婦同姓なのって珍しいくらいなんだってね。
そういう事を言うと「日本は日本だから!」とかってまた怒られちゃいそうだけど。


仕事上の面から夫婦別姓にする為に、事実婚で通した知人がいた。
女性の方が苗字を継がねばならない事情があり、
男性は女性の籍に入る事を了承して結婚したんだけど、
苗字が変わると仕事上不利になるから、暫くの間元の苗字でいる為に
夫婦別姓、事実婚の形にしたらしい。
でも、子供が生まれても、結婚から10年が過ぎてもそのままだった。
60歳とか70歳とかになって完全に仕事から引退するまで
ズルズルとそのままにしておくつもりだったのかな?

その男性は結婚の承諾を得る為に女性の籍に入る事を了承したものの、
本音では嫌だったんじゃないのかな、やっぱり。
それで、女性に事実婚を受け入れさせた。
他の事情も含め、家庭より、仕事での成功を強く望んでいたのだとも読み取れる。


日本は封建的男系社会で長く来たから、苗字が変わる事に男性は抵抗が大きい。
女性の下に付くのはプライドが許さない。

マンガ家の場合、仕事ではペンネームがあるからそのまま通せば良い。
でも、とある女性マンガ家さんは本名のままだったので、
結婚した時に、ペンネームが元の苗字のままになっているのを
嫁ぎ先の義父母に嫌がられたそうだった。
そんな事言われても、ねぇ。

松任谷由実みたいなわけにはいかないね。


結婚仲介業をしている知人がいる。
一人娘で家業を継がねばならない女性の為に、婿養子を仲介する枠組みを作った。
開始当初は同業者から馬鹿にされたそうだけど、実際需要があって、
重要な分野になりつつあるらしい。


ウチの場合、ちょっと複雑で、
母方の祖母の実家がTという苗字で、祖母は結婚してKという苗字になった。
母もKとして育った。
ところが、祖母の実家で後継ぎが必要になり、母がTの苗字を継ぐ事になった。
祖母はKのまま。
母の弟がKの苗字を継いだ。
父の苗字はWだった。
父は母と結婚するに際して、婿養子として入り、Tの苗字に変わった。
母Kと父Wが結婚してTになった訳だ。
子供の頃はよく分かっていなくて、
結婚したら好きな苗字を選べるもんだと思ってた。

母はTの苗字が好きではなかった。私も、本名の字面が地味で、好きじゃない。
もっとスマートな苗字だったら、
それに合わせてスマートな名前を付けてもらえただろうに。
子供って、名前の通りに育っちゃうもんだからね。

里中満智子先生の「アリエスの乙女たち」の中にあったエピソードを思い出す。
片方のヒロインは、親が誰と結婚しても合うような可愛い名前を付けた。
もう片方のヒロインはちょっと変わった名前だったので、
違う苗字を合わせてみてもそぐわない感じになってしまう。
いずれ苗字がしっくり来る男性と出会ったら、その人が運命の相手なのだ、と。

夫婦別姓になっちゃったら、せっかくのエピソードが成立しないね。


夫婦別姓になると、家族としての一体感が薄まり、離婚も増える、
だから別姓反対、とかって、
そういう考え方も分からなくはないけど、
夫婦は絶対同姓というのはもう社会の実情にそぐわない制度になっているし、
以前にも書いた通り、法律というのは人の幸福を守る為にあるものなんだから、
古い制度に固執せず、柔軟に考えるべきだと思う。

ウチの場合、ちぐはぐな家族になってしまって、
幸せな家庭とは言い難かったけど、それは苗字のせいではなくて、
男女平等に仕事を持つ事を時代に先駆けて実践しようとしていたから。

男女平等、夫婦共働きの軋轢の中で育った。
理念だけではうまくいかない。

でも、揉まれていくウチに良い方向性が見えて来る事を願う。
ゴツゴツした石も、川を流されて下流に行くにつれて削られて丸くなる。
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