昨晩、仲直りのつもりが、一方的に言われ放題になったのが
心の中でしこりになっていた。
打開策を見つけなければならない。
とりあえず、その日はディベートを試みた。
積極的に話す事が英会話の上達にも繋がるし、
何より、ただ言われるがままの人間ではないと　知らせなければならない。

話題は何でも良かったし、是非もどうでも良かった。
スポーツや政治、とにかく反論を仕掛けてディベートを続けた。
フィリップはわかりやすく噛み砕いて話してくれていたけれど、
私がひたすら粘るのには苦笑していた。
ディベートなんて、お互い気持ちの良い事ではない。
でも、どうなんだろう、
フィリップは私が昨晩感じたようなツラさを少しは理解してくれただろうか。
...あまり期待できない。
実際フィリップは少し居心地悪そうだった。

私に何が出来たんだろう。
それまでのようにフィリップのペースに合わせて
ホンワカノンビリしていられれば、私だって楽しかった。
それで、私がボンヤリとした意見を言うのを嫌がったのはフィリップの方だ。
ホンワカ優しく、それでいて強い反論なんて出来ない。

パームデザート行きが仲直りの良いきっかけになってくれる事を
お互い望んでいた筈だった。
でも、堅苦しい雰囲気を引きずったままの出発となった。