忘れたい、というよりは
忘れた方が良いだろう、という気持ちが募って来て、
記事を書くのが　日々重苦しくなってくるように感じる。
とは言え、やりかけた事を終わらせないのは見苦しい。

ブランチから帰って、ホテルの温水プールで暫く遊んだ。
１１月も終わろうという時期に　水泳選手でもないのに
プールで泳いでいるなんて。
家族連れの子供達のはしゃぐ姿が微笑ましい。
フィリップとはまだどこか付かず離れずのようではあったけれど、
童心に帰って遊んでいると、気持ちもほぐれる。

３時半にスパの予約が入っていた。
フィリップも行くのかと思っていたら、私の分だけだった。

１時間のコースを終え、シャワーを浴びて髪も洗って出た。
部屋に戻る途中の廊下に、ここのリゾート地で過ごした有名人達、
アイゼンハワーやケネディ、ビング・クロスビーらの写真が飾ってあったので、
グルリと見て回った。
フィリップと一緒だと、さっさと通り過ぎさせられてただろう、という思いが
暫く足を止めさせた。
部屋に戻ると、フィリップが少し不機嫌そうだった。
戻りが遅れたのがやっぱり良くなかった。

少々のぎこちない空気を振り払い、早めの夕食に出掛けた。
パームデザートと言えど、日が落ちる頃には肌寒くなる。
駐車場とレストランを繋ぐショッピングモールを行き来する間、
ケンカの前だったら、しっかり肩を抱き寄せてくれていただろうに、
少し他人行儀な雰囲気が取り払えなかった。

（続く）