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マンガ家Mの日常
そりゃ、1年に1回の事だから、手順も何も覚えちゃいない。
領収書の類は大体同じ所にまとめて置いているから、行方知れずになりはしないけど、
それらを分類してまとめ直すところから始めなければならない。
それが形になると、何となく手順が見えて来る。

独立して、仕事を始めて、確定申告をするようになって、
ずっと書類に取り組んできた訳だけど、
最近はあちこちの会社がエコでペーパーレスとか調子の良い事を言って、
経費削減で、明細書や支払い調書や何やをメールで送って来るので、
それをいちいち開いて確認して、プリントしたりしなければならないのが面倒。
結局、面倒をこっちに押し付けてるだけ。
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昭和の子供達を賑わせたギャグマンガ「トイレット博士」の作者
とりいかずよし先生が膵臓がんで亡くなられた。享年75歳。

子供の頃は買えるマンガの数も限られていたし、
祖母の躾が厳しかったので、
「トイレット博士」のようなギャグマンガとは距離を置かざるを得ず、読まずじまい。
タイトルだけは耳にしていた。

連載された「週刊少年ジャンプ」の厳しさで、
とりい先生も次作の話題は聞かれなかった。
当時の「ジャンプ」は容赦無い。
「ど根性ガエル」の吉沢やすみ先生も、
「侍ジャイアンツ」の井上コオ先生も、
第2のヒット作誕生を待ってはもらえなかった。
若い豊かな才能が恐ろしい勢いで食い潰された時代。
…一瞬、今のロシアの女子フィギュアスケート選手達の姿が浮かんだ。

北京冬季五輪に一喜一憂する最中、
確定申告の期日の足音がヒタヒタと近づいて来る。
毎年面倒この上無いけど、納税義務の遂行は果たさなければならない。

遺産相続やら土地の売却やらあったので、今年は例年以上に色々難しい。
青色申告会の税理士さんにお任せしよう。
会費納入してるからね。

国際ロマンス詐欺。

一定の収入がある日本人中高年女性がターゲット。
世代的に外国人に劣等感があり、SNSや英語に不慣れ。
男尊女卑の日本社会に苦しんできた為、甘い言葉に弱い。

騙される側にも問題はあったと言われても仕方ないが、
今回の井出先生の告白を見ると、
「詐欺」と言うより、「洗脳」の匂いが強い事に気づかされる。

詐欺犯に対して憤り、
「何としても報いを受けさせる。」と強い決意を口にするが、
足取りを途絶えさせない為にと、騙されたままのフリをして、
いざマーク(なりすまし)から電話がかかってくると、
酷くうろたえて、マークの名前を何度も呼びながら涙をこぼす。
番組を見ていて、ちょっと驚いた。
洗脳はまだ解けてはいないのではなかろうか。
同居しておられる次女の方がしっかり目を光らせるよう願うばかり。
井出先生、あなたは決して孤独ではありませんよ。


メッセージや振り込み証書等々、あらゆる記録を大量に保存されており、
できればそれらを手掛かり、証拠として、詐欺犯逮捕を目指したい。
詐欺犯の1人が実際に井出先生宅に来た事や、
マンガ家としての井出先生の情報をしっかり掴んでいた事を思うと、
詐欺犯グループは日本国内に潜んでいる可能性もある。
しかし、果たして警察がどこまで捜査するつもりがあるか。
個人で探偵等を雇うとなると、また高額な経費がかかる。
4,000万円の借金は今後働いて少しずつ返済して行くのだろうか。
長男が出した800万円は、借金の方の数字に入っているのかどっちなのか。
番組内では原稿を執筆されている様子も映され、
仕事が順調に継続されておられるならば、数年後には完済出来るかもしれない。
それまでは生活費等はどうされるのだろう。
手っ取り早く自己破産という手段もあるけれど。
番組をここで終わりにせず、取材を継続して欲しい。

洗脳が解けた時、きっと何かが見えてくる。


余談だけど、
番組中、井出先生が原稿にペン入れしておられる映像がある。
正直、今のマンガの水準からすると、既に上手いとは言い難い絵で、
デッサンの狂いも見られる。
とは言え、原稿用紙に人物のデッサンも取らず、
水色の色鉛筆でサクサクっと描いた下描きにどんどんペン入れして行くのは
流石ベテランの技。
(水色の色鉛筆を使うのは、普通の白黒印刷の場合、水色が印刷に出ないので、
 下描きを消さずに済み、消しゴムをかける時間と労力が省けるから。)

(このテーマ完了。)

マーク(なりすまし)に貢いだ総額が7,500万円まで達し、
そのうち4,000万円が借金で、井出先生もようやく詐欺だと認識し、
次女を伴って警察に被害届に行った。
しかし、警察の対応も難しいところで、
お金を渡した相手がはっきりしている分だけしか被害として認められなかった。

こうしたロマンス系の詐欺って、法律上どうなんでしょう?
結婚詐欺とかだともう少し明確な線引きがあるんだろうけど、
成人が惚れた相手にお金を渡しただけとなると...。
ホストクラブとかと似たようなもので、
詐欺に遭った女性達も、ロマンスというサービスを受けていたと言えなくもない。
実際、井出先生は(仮想の)恋愛に浸り切っていた。

70歳を超えて、それなりに顔にシワも出来、お腹周りにお肉も付いた。
でも、マーク(なりすまし)と恋に落ちて嘆いている自分は、
30代くらいのほっそりした女性の姿で描かれている。
マークと自分が抱擁している絵となると、両方とも似ても似つかぬ美男美女。
これらの自作の絵を見せられると、やっぱり結構引く。
ちょっとイっちゃってると誰しも思うだろう。

マンションの窓から外を眺めて、「孤独だ。」と呟く。
DV夫と離婚して、女手一つで3人の子供を抱えてがむしゃらに働いて来た。
マンガ家として成功と言えるポジションを維持出来たが、
こもりきりで、ハードで孤独な作業。
(マンションの仕事場風景を見ると、ほぼ1人で描いておられるのだろうか。)
少し自分にも幸福が舞い降りて良いのではなかろうか。

マンガの仕事をご存知ない方から見ると、
ドロドロした恋愛マンガばかり描いて、
マンガ家本人もその世界を信じ込んでいると思われるかもしれない。
しかし、以前にも何度か書いた事だけど、
ネームを切って編集者と打ち合わせをして、ひたすら原稿に落とし込む、
そうした作業は客観的に行われるものなので、
マンガ家が自分の作品と自分を同化しているわけではない。

今回の番組では、井出先生お一人でご自身の体験を語っておられるので、
マンガ家の仕事の部分がフィーチャーされるのもやむを得なかったが、
他の仕事で、ある程度の大金を動かせる女性であれば、
同じ被害に遭いかねないだろう。

ま、でも、やっぱり、
井出先生、脇が甘過ぎ。

(続く。)