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マンガ家Mの日常
以前、ベテランのマンガ家さんとも話した事。
その先生もロマンスものの作品を手掛けていて、
ハーレクイン等を含むロマンス小説を参考として読まれていた。
ところが、どうにも読み辛い。
で、気付いた。
主人公の目線が入れ替わるのが原因だと。

主人公は、主人公ってくらいなんで、基本、物語の中で主人公はひとりだけ。
(ドラマや映画で群像劇ってのはあるけどね。)
人称は何であれ、主人公の目線から物語が見通される。

ところが、今作を含めて、ハーレクインの原作をいくつか読むと、
ヒロインと相手役の男性、双方の目線から話が語られる事が多い。
それぞれの心情が描かれるのは良いんだけど...、
話の焦点が分散されてしまう。
また、ヒロインがミステリアスな男性に想いを寄せる展開の場合、
男性側から描く事で、ネタバラシになってしまって、
読んでいてハラハラしないし、ヒロインを客観視してしまい、
感情移入も途切れる。

恋愛感情の行き違いを表す為に双方の感情を描くんだろうけど、
125ページくらいの長さのマンガでは得策では無い。
小説でも、余程の長編でなければやらない方が良い。
せめて分量の配分に気をつけるとかすべき。

今回の原作を見直して、ヒロインの行動が本来の動機に基づいていないのは
こうした入れ替わりの書き方に起因するのではなかろうか。
ヒロインがアクティブに動く前に、男性が物語の主導権を握ってしまう。
結果、いつのまにか男性側のストーリーに変更されてしまっている。
ヒロインが何をしたかったのか、作者が何を描こうとしたのか、
それが話の途中で変わってしまう訳だ。
これではマンガにならない。

男性をミステリアスにする為の肉付けは良いのだが、
そこばかりに目が行って書き込んでしまうと、ヒロインは置いてけぼりにされる。
それよりは、ヒロインの言動にもっと工夫を凝らして魅力的に動かすべきだ。
ハーレクインの場合、ロマンスものの王道として
男性に引きずられるヒロインが読者に好まれる傾向が無くは無いが、
それならそれで、ヒロインの目線を重視しなくては。

ハーレクインの小説も枚数制限があって、小説としては短い方だ。
それなのに、あれもこれもと、読者が好む定番要素を盛り込もうとする作家もいる。
そうではなくて、もっとテーマを整理して、情報を取捨選択すべきである。
思いついた事柄を全部入れようとすると、テーマが絞り込めなくなる。
映画等でもよく言われるように、
編集作業として情報を割愛していく事で、作品が洗練されるのだ。

なんでもかんでも詰め込もうとするのは、読者に対するサービスではなく、
手元にある物を使い切ってしまおうというケチな感覚に過ぎない。
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