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マンガ家Mの日常
原作選定の問題点に関しての補足。

今回の原作からの構成が厳しくなってしまったのには理由がある。
前回書いた通り、ヒロインに賛同しかねる事もだが、
それは個人的感情の部分でもあるので、人それぞれと言えなくも無い。
ここで書きたいのは、もっと普遍的な事柄。
マンガの話作りで重要なのはエピソードで、
今作には、エピソードの設定が数多くありながら、
問題は、それらに内容が無い点である。

例えば、
「ヒロインは彼の優しさに包まれて、病から回復した。」
という「設定」を作ったとする。
これは、例えば「彼が枕元に毎日そっとミルクティーを運んでくれた。」
なんていう、具体的行動や台詞とする事で「設定」が「エピソード」となる。
マンガは絵での表現が大きなウエイトを占めるものなので、
人物の行動を絵で見せることが肝心なのだ。

ところが、今作の場合、重要な「設定」であっても
「エピソード」として作り込まれていないケースが多くあり、
小説であれば読者が頭の中でイメージを膨らませて補足し得るが、
マンガではそうはいかない。
必要な「設定」は「エピソード」にしなければ、マンガとして成立しない。

そこで、ひとつひとつを「エピソード」に作り込んでいくと、
原作そのもののページ数がイメージするよりも、
マンガの方は遥かにボリュームが膨らんでしまう。
その為、構成が厳しくなってしまった。

こうした点の見極めも、原作選びでは重要。
原作の基本となる設定、展開、エピソード、それぞれに力があって、
バランスの取れている物がマンガ原作にふさわしい。

でなければ、今回の仕事の様に、
マンガ家ひとりがひたすら苦労を背負い込む羽目になる。
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