忍者ブログ
マンガ家Mの日常
...、さっき消してしまった記事、
悔しいから なんとかもう一回書いてみる。
忘れたら忘れたで良いのかもしれないけれど、
結局 頭の中に溜まっている事は いつかは吐き出さなきゃならない。
ひとつ勉強になったと思うしかない。

始めっ!

過激な性描写のあるマンガの販売規制が 都条例で可決された。
石原都知事は時々もの言いが乱暴で あまり好きにはなれないけれど、
「過激な内容の作品を 子供が簡単に手に取る事がないようにしたい。
描くなと言っている訳ではない。」
という話に無理はないように感じられるし、
都主催のアニメフェアを いくつかの出版社がボイコットした件についても
「どうせ来年は来るんだろう。」
と言っているのが当たりのようで、日本の出版社 どうにもなさけない。

条文について、曖昧なところがある、という意見も出ているけれど。
敢えてグレイゾーンを作る事で 表現の自由の部分をカヴァーして、
将来的に状況が変わった場合に 可変的に対応できるように、という
法律家の配慮だと見られる。
完全に明文化してしまうと 早急の対応ができなくなったり、
法の網の目をくぐって 悪い事をしようとする輩が必ず出てくるから。

石原都知事自身 作家活動もしているのだから
作家の立場をまるで理解していない訳ではないと思う。
けど、問題は、一度公権による規制が実現してしまうと、
先々それが拡大解釈され、深刻な思想統制に繋がりかねない恐れがあるわけで、
ちばてつや先生が懸念されているのも そこだと思う。
戦争を体験された ちば先生は、戦後世代の我々には感じ取りきれない
思想統制の恐怖を 肌で実感されている事と思う。

本当だったら マンガ家がもっと意見表明するべきなんだろうけど、
正直、私ランクが何か言っても 世間の誰も耳を貸してくれない。
発言に影響力のある 売れっ子のマンガ家さん達は
まず、仕事が忙し過ぎて そうした活動に時間が取れないのと、
何か意見表明することで トラブルにはまってしまったり、
出版社と対立してしまったりしたら 自分の損になるので、
誰も敢えて 火中の栗を拾いには行かない。
それってどうなのかな、と思わなくもないけれど、
各人 自分で自分の財産を守ってゆかねばならんから...。
マスコミがインタヴューしに行くとかして
そういう人達の意見を集めるといったような事はできないものだろうか。

ただ、とりあえず今回に限っては
完全に軍配は 石原都知事の側に上がった。
世論の支持も都知事側にあると思える。
マンガを読んでいて 時々
「見なきゃ良かった。」と思うシーンにぶつかる時がある。
性描写に限ってのことではない。
コミックスだったら 一人の作家の作品に限定されているけれど、
雑誌だと 大勢の作家の様々な作品が掲載されているので、
稀に 不意に、読後感の悪いものを目にしてしまう事がある。
マンガ家をやっている当人ですら そうなんだから、
小さい子供を持つ親の心境を 無視してもいられないだろう。

何年か前、石ノ森章太郎先生が亡くなられた時
都内のホテルで 一般のファンも入場できる無料の追悼展示会があって 
足を運んだら、ちょうど ちばてつや先生と里中満智子先生がいらしていた。
追悼の祭壇の前で まさか「ファンです。サイン下さい。」などと
駆け寄る訳にもいかず、離れて姿を拝見しただけ。
 
今回の件で会見場にいる ちば先生をTVで見ていると、
もし同じ場に 手塚治虫先生、石ノ森章太郎先生、藤子・F・不二雄先生らが
おられたら 状況は少し違っていたかも、と思わずにいられない。
早世が惜しまれてならない。

一度成立した条例が 今後そう簡単にひっくり返されるとも思えない。
 
でも、いつかきっと 道は開ける。
PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック