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マンガ家Mの日常
ネットニュースから。

講談社の青年誌「月刊イブニング」休刊。

「休刊」って、実際は「廃刊」。
言葉は正しく使わなきゃ。

発行部数42,000部。
これを悪く無い数字と見るか、ダメな数字と見るか。
人気作「金田一少年」や、
大ベテランの小林まこと先生の柔道ものが連載されていたとなると、
それだけでも、支払われる原稿料はかなりの金額になる。
コミックスは良い数字をあげるだろうけれど、雑誌の赤字は大きい。
人気作品だけ他の雑誌に移動させて、雑誌は廃刊にするのが通常の手立て。

「イブニング」は、講談社の青年誌の中でも少し特殊で、
売り上げよりも、個性的な作品を世に出す事を使命としていたと言われていた。
先輩マンガ家さんも「イブニング」に描きたいと言っておられた事があった。
でも、ここに来て限界が見えて来たのだろう。
残念。

少年誌や青年誌では、読者の関心を繋げる為にも、週刊ペースで発行する必要がある。
しかし、「イブニング」は月刊誌として隔週発行だったそうで、
そうなると、会社員の読者とかはついて行かなくなる。
ただ、昨今、マンガ家のハードワークが問題視されている通り、
週刊連載は体力的に厳しいので、男性作家でも、週刊連載から外れる方向の人もいる。
月刊誌、隔週誌は、そういう男性作家の受け皿でもあった。
ただ、読者はついて行かなくなる…。
少女誌や女性誌の売り上げが伸びなかったのも、そこに一つの原因があったわけだけど。

「イブニング」の場合、お初で単体で購入して読んでも、正直、入って行けない。
どういう作品が連載されていたか、その時期にもよるかもしれないけど。

少女誌、女性誌では、
雑誌を売る為に、単発の読み切りか、読み切り連載の形式が求められて来た。
それは、作家にとってはネタの消耗度が高く、量産は厳しい。
挙句に、読み切りをまとめたアンソロジータイプのコミックスは売れない。
コミックスで売れるのは、長期の週刊連載作品のようなタイプ。
この矛盾が、女性作家の首を締めて来た。
男性作家にも同様の現象が起き始めるのかもしれない。

売り上げ、マンガ家の生活、作品の質、
出版社は、そういう要素をもっと総合的に考える義務があったと思うが、
名案は出なかった。

「イブニング」が夜を迎えた。
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