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マンガ家Mの日常
「ストライクTV」が終わっちゃって、後番組として
「言いにくいことをハッキリ言うTV」が始まった。
元々あった別番組を、ちょっと変えて持って来たらしい。

第1回目のテーマ「日本映画に未来はない!」、ゲスト園子温監督。
全部に共感するとまで言わなくても、わかるなぁと思える部分は一杯あった。

その中で出た「幕の内映画」という言葉。
プロデューサーからは最初「怖い映画を作りましょう。」と言われて
脚本を書き始めたら、まず「子供が見られるレベルにして。」と言われ、
更に日を追う毎に「恋愛を入れて。」「友情を入れて。」「親子愛を入れて。」
と、注文がどんどん付け足されていった、とか。
日本映画はゴチャゴチャ入れ過ぎで、一転突破的なものが無くなって来ている、
という話。

作り手側としてスッゴク共感した。
今のハーレクインの小説がほぼそう言う作りだから。
金髪美女とラテン系大富豪が恋に落ちて結婚するのは良いんだけど、
過去の親子関係、成り上がり、誤解、離別、妊娠、
あれもこれも定番のウケる要素を盛り込み過ぎ。
話の焦点がボケて、どのエピソードも掘り下げ不足でつまんなくなっちゃう。
これではテーマと言えるものが存在せず、ただ出来事の上っ面を追うだけ。

マンガのネームにする際にはそこんとこをかなり絞ってはいる。
そうしなきゃ、感情移入も何も出来ない。

何でそうなるかなぁ、と思うんだけど、
映画も小説もマンガも、お金を払ってくれる観客ありきなんで、
観客がそれを求めるから、としか言い様が無い。

一時期「トップガン」みたいな映画が流行って、
あらゆる要素が1作の中に盛り込まれているのがヒットの要因だとされた。
確かにそれもひとつの作り方ではあるんだけど、
全ての作品でその手法が適しているとは限らない。
同じ事をやってれば、焼き直しの作品しか生まれない。

でも、一方で観客もそう言うマンネリ作品に走りがち。
ただわかり易くて、他の観客と右へ倣えの反応をすれば良いから、
周囲から浮かずに済む。

番組の中でも「お客を育てなきゃ。」という発言があった。
マンガにしても、出版社が読者を育てる意識が必要。

アンケートなんて止めたら良いのに。
読者の要求に追随するばかりで無く、出版社として
これを読者にじっくり大事に読んで欲しい、と思う作品を
手間ひま掛けて提供して行かなきゃ。
流れを作れば読者もちゃんと乗って来る。

安くて食べ易いジャンクフードも、それはそれでありだけど、
そればっかりでは身体に良く無い。
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