忍者ブログ
マンガ家Mの日常
竹宮先生と増山さんが、どういった環境で一緒に仕事していたのか、
見当が付き難い。
会社のように、時間割を決めて増山さんに出社してもらって、
日々の進行に沿って打ち合わせを進めたのかな。
そうなると、増山さんの仕事としての時間配分はどうだったんだろう。
進行の段階によっては、いてもらっても困る時さえある。
この時期、週刊連載がメインだったから、タイトなスケジュールで、
日々の進行がはっきりしていたから良かったのかもしれない。

マネージメントその他の仕事をこなしてくれるスタッフがいてくれると、
マンガ家は創作に集中出来るので有り難いのだけど、
そうなると当然お給料分も稼がねばならなくて、責任が大きい。
仕事として一定期間拘束する以上、相手の一生についても頭をよぎる。
個人でマネージャーを雇える女性マンガ家は数少ないだろう。
仕事の能力は勿論、相性もあるし、信頼出来るかどうかがまた難しい。
スタッフに大金を持ち逃げされたなんていう話だってある。
諸々考えると、増山さんの存在は竹宮先生にとっての奇跡でもあった。

若くて才気煥発な竹宮先生について、増山さんの最初の印象が興味深い。
「COM」に掲載された作品を読んで、「嫌な子」だと思ったと言う。
どう描けば「COM」に気に入られるかを分かって描いた作品だと言う感想。
竹宮先生の本質とも言える自意識の高さを10代で見抜いていた。

表現の奥深さ、強さと同時に、時としてこれ見よがしな感も見え隠れする。
才能に魅了されながらも、あざとさが鼻について敬遠したくなる部分もある。
そうした感覚が画面から離れた瞬間、作品は純粋でかけがえのないものとなる。
2人の感性が噛み合っていた時期が最良の創作期だった。
竹宮先生の名作はこの時期に集中している。
竹宮先生にとって、名作の思い出は、増山さんの思い出でもあるだろう。

コンビ仲を揶揄される形で、レズビアン疑惑も噂されたりしたらしい。
それに関しては竹宮先生はきっぱり否定しているが、
性的な表現を作品に盛り込んだり、
自らをバイセクシュアルと言ってみたりする辺りにも、
竹宮先生の、最先端の大人ぶりたい自意識の高さが伺えて、
疑惑を持たれる事にも密かに喜びを感じていたのではなかろうか。

増山さんとはある時期を持ってコンビを解消している。
それがいつで、どう言う理由からなのかは、今作の中でも明らかにされていない。
あまりに個人的な理由だからなのか、説明が長くなり過ぎるからなのか。
出会いの重要性と共に、別れも重要であると思うのだけれど。
PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック