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マンガ家Mの日常
再録用の原稿の修正作業中。

大分前の原稿なんで、思うような事は出来ないけど...。

基本的なところから修正してる。

読み切りで単発の仕事だったんで、
アシスタントさんも臨時の人が入ったりしてくれていた。
ただ、そうなると残念ながら指導が間に合わず、
仕上げの作業でもミスが目立つ。

仕上げとは、
消しゴムかけ、ベタ塗り、ホワイト修正、トーン貼りと削り。
マンガの仕事ではごくごく基本。
それでも、人によって技術にかなりバラツキがある。
本音を言えばね、仕上げは指導無しに出来なきゃダメでしょ、って思うんだけど。

とにかく、トーン貼りがミスだらけ。
真面目に頑張ってくれていたので、こう言ってしまうのも申し訳無いんだけど、
...何でこれくらいまともに出来ないのかな?

ドットのトーンは全部計ったように斜めになっている。
ある程度大きな面はドットの水平垂直を合わせて欲しいんだけどな。
どこもかしこも同じような斜め具合になってるから、
おそらくその人の癖なんだろう。

最近のトーンでは糊が硬くなって扱い難い物もあるせいか、
やたら大雑把にカットする人が増えた。
本来貼る部分から1cmくらい大幅にカットして貼っている。
無駄が多い。トーンのシートがあっという間にカスだらけになって勿体無い。

で、そこからサクサクカットすれば良いんだけど、
何故か線から1mm程度、あるいはもっとはみ出してカットして、
はみ出し部分を一々削っている。
時間の無駄。
で、綺麗に削れていなくて線からはみ出して、線がぶれて見える。
線上じゃないところをカットしているから、
関係ないところに切り傷が一杯出来てしまっている。
削った断面にゴミも溜まっている。
隣り合ったトーンと重なっていたりもする。

かと思えば、逆に線から入り込んだところでカットしてしまって、
筋状の空白が出来ていたりもする。
単純な削り忘れもあちこちにある。

ペン線の上をカッターナイフでなぞっていけば良いだけなのに、
まともにカッターナイフが操れていない。
酷いのは原稿用紙まで切ってしまったりしてる。
指先の感覚が鈍くて、力の加減も出来ていない。

とにかく仕上げが汚いし、無駄に時間がかかっている。
トーン作業でダラダラ時間をかけて長時間原稿に触っていたせいで、
汚れも沢山付いてしまっている。
その汚れをホワイトで修正する。
二重三重に時間の無駄だし、ホワイト修正の後が無残。
悲しくなる...。

こういう仕事しか出来ないアシスタントさんには、
背景を描く仕事は割り振れない。
仕事に繊細さと丁寧さと確実性が無いから。
本人達は分かっていないだろう。
仕事に対する意識がそのレベルでは、上には行けない。

継続的に来てくれたアシスタントさんには指導の時間も作れて、
細かく教えていくと、真面目な人はちゃんと出来るようになる。
それも才能のうち。
人間性でもある。

ひたすらトーンの修正をしている。
当時きちんと出来ていれば、やらなくて良かった筈の仕事。
時間の無駄が虚しい。
古い原稿でもあるので、斜めになったトーンの貼り直しまでは出来ない。
圧着されているから、はがしてズラして貼り直す事がもう無理。
下手したらペン線を汚しかねない。
完全にはがして新しく貼り直すにしても、原稿の面が古い糊で汚れる。
残念だけどそこはもう諦めるしかない。
1、2箇所だったらやったかもしれないけど、数が多過ぎる。
本当に、どうしてこんなに、と思う。

とにかく作業をするしか無い。
はみ出したトーンをひたすらカットして、
汚れに消しゴムとホワイトを掛け直している。

デジタルで描けば、こういう苦労が軽減される部分もあるんだろうか。
でも、たとえデジタルにしたとしても、
繊細な仕事が出来ない人は同じような事になるんだろう。

もっと仕事にプライドを持って臨んでもらいたい。

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