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マンガ家Mの日常
ネットニュースから。

アニメ化の企画も進んでいた人気作のコミックスが、
原稿修正(2ページ分)がなされる前に、作者の了解が無いまま出版され、
作者がTwitterで抗議と読者への説明を出した。
初版はそのまま発売されるしかなく、2刷以降は修正版となるが、
初版を購入した場合、2刷との交換はしてもらえない。
作者としては、初版が読者に行き渡る事には懸念があるが、
初版が売り切れない事には2刷も出してもらえないので、二律背反に陥っている。

何故こうなったのか?
おそらく、アニメ化目前で、話題に乗せる為に
編集部がコミックス出版を急いだのだろう。

デジタル化以前は、コミックス化の前に一度原稿を全部返却してもらい、
出来る限りの加筆修正をしていた。
連載時に、締め切り前のドタバタで、細かなミスがあったり、
手が行き届いていない箇所があったり、或いは、何らかの誤認があったり。
そうしたあらゆるミスを修正する。
また、加筆はコミックスの特別感を上げるのにも有効と見られていた。

しかし、デジタル化が進んだ事により、雑誌掲載時にデジタル化されるので、
その後の修正には再度のデジタル化作業が必要となるので、
加筆修正が望まれなくなってしまった。

今回の件では、作者が希望する修正は2ページだそうで、
大体、2、3ページ分は編集部も了解してくれるので、
通常の範囲内の修正の筈だった。

それでも、
以前、編集者から
「雑誌掲載時に完全な原稿であるべき。」とも言われた事がある。
まあね、そりゃ正論なんだろうけど。

お陰で、ハーレクインのコミックス版での初稿出版では、
最後の修正作業に神経尖らせて、どうしてもそこで時間を食ってしまい、
締め切りに遅れるという、面倒な結果になってしまっていた。

雑誌は若干印刷が荒いから、少しのミスは目立たないけど、
コミックスはもっと印刷がハッキリしてるし、
読み捨ての雑誌と違って、長く読者の手元に残る物だから、
雑誌版では締め切りに合わせて原稿を出し、
コミックス版で加筆修正するというのが、自然な流れだったのだけど。

マンガ家がクライアントである出版社を公の場で批判すれば、
普通は仕事を干されるもんだけど、
このところ、世間が少しずつマンガ家の味方になってきているような感じがする。
それも、それぞれがこうして厳しい状況を吐露出来るようになったからだろう。

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