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マンガ家Mの日常
数名の人気マンガ家が出演するという事で、録画して見てみた。

「カイジ」の福本伸行先生のつてで、「刃牙」の板垣恵介先生もご出演。
板垣先生については、現在秋田書店随一のマネーメーキング作家なので、
編集部がガードを固めて、外部のメディアに会わせないようにしていた、
といった話もかつて聞いた事があったので、TV出演は貴重かもしれない。


番組の内容としては、期待外れ感が否めない。

前段は、お約束とも言える、印税収入の話。
印税収入は、コミックス発行部数 X 単価の10%で単純計算出来てしまうので、
マンガ家も隠しようがない。
「夢があって良いね。」という中居くんの言葉は良いのだけれど、
芸能人やスポーツ選手同様、潤っているのは極々一部だし、
マンガ家にとっての「夢」って、印税収入って事では無いような。
深夜枠だし、必ずしもマンガマニア向けの放送では無いので、
こういう内容にならざるを得ないのかな。

「ジャンプ」で活躍された森田まさのり先生は、
最後の作品ともされる「べしゃり暮らし」の売り上げが振るわず、
実質赤字だと話されていた。
まぁ、それまでに築いた資産があるから平気なんだろうけど。
「ジャンプ」で地位をキープするのは並大抵ではなく、
Wikiで見ると、過酷な連載の仕事で随分体調を悪くされたらしい。


後段、花田健吾先生の仕事場の様子が映し出され、
マンガ家の多くがデジタルでの作業に移行しつつあるという話が出た。
板垣先生曰く「デジタルのおかげでかなり楽になった。」と。

リアルな世界を描くべく、緻密な画面が要求される時代になってから、
原稿制作に大量の手間が必要になってきた。
連載の仕事を乗り切る為には、もはやデジタル化が必須なのかもしれない。
出版不況で全体的に売り上げが落ちていて、
まともにアシスタントを雇っていたら、完全に赤字になってしまう。
森田先生ですらそうなんだから。

とは言え、
写真をパソコンに取り込んで、それをトレースして仕上げて、
別に描いた人物(これもまた写真からのトレースだったりする。)等と
合成して画面を構成する作業には、いささかの疑問を感じる。
もう、それって「絵」では無いような。
だったら全部写真にしちゃえば?

写真の画面は人工的なレンズを通して映し出されたものだから、
人間の目で見たのとは違う。
レンズの構造そのものは同じ理屈なんだろうけど、
人間はその先に脳があって、脳内で情報処理されている。
「脳」の意識が欠落した画面には人の感覚が伴ってこない。

先に挙げた通り、経済性が大きく作用しての結果なので、否定もし難いけれど、
マンガの感性が薄れていくようなのが残念。

マンガは「読ませる」ものなので、
「絵」よりも「ストーリー」重視で制作していきたい作家さんには
それで良いのかな。
そういう風に割り切れれば。


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