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マンガ家Mの日常
以前書いた通り、
コミックのデジタル配信開始当初に出版社から渡された契約書の文言が、
こちらがまるで著作権泥棒でもあるかのような一方的な書き方をされていて
非常に嫌な思いをさせられ、おまけに
「作品は勝手に作り換えるが、クレームがあった場合の責任は一切マンガ家持ち。」
といった酷い内容だったので、差し戻した事があった。

当時の編集さんに話を伺うと、
契約書は配信会社主導で作成されており、
著作権に関してネットの中でのモラルがかなり低かったので
配信会社の言い方もキツくなっていた、という事でした。

あれから数年は経過してるけれど、
今回のネットゲームでの「盗用、トレパク」問題を見ると、
未だにネットの世界ってここまでモラルが低いのかと思い知らされてしまう。

作家として、プロとしての意識が欠落している。

そうなってしまった理由として、パソコン上でのコピーのし易さは大きい。
誰でも何となく作品が作れたように勘違いしちゃう。
それともうひとつ、
同人誌、コミケ文化?の悪影響もあると思える。

今回ご紹介いただいたゲームキャラのトレパクは、
元の作品が同人誌発祥のものだった事を見ても、
ゲームの製作者の方々が同人誌の世界に精通していたのは明らかで、
同人誌での活動から移って来たのかな。

同人誌の本来の役目は、
作家志望者が勉強の為に自作を発表する事にあったのだけど、
現状はパロディもので仲間内で楽しみつつ、
お金を稼ぐ事が主体になってしまっている、今に始まった事ではないけど。
パロディと言えば聞こえは良いけど、要はパクリ。
パクリ作品に高い値をつけて稼いでいる。
全体がそうだとは言わないまでも、
パクリでお金を稼ぐ事が当たり前になってしまって、
それが現在のネットゲーム等の製作者のモラルの低下に繋がったのだと言える。

同人誌、コミケだけが問題の全てだとは言わないし、
ネットにしても、システムとしての媒体事態に問題がある訳では無い。
要は、リテラシー、モラルを浸透させ、全体の意識を高める事が大事。
その為にも、現在のような形での同人誌、コミケのシステムは
改善されなければと思う。
作品作りの勉強と同好者の交流を純粋に楽しむだけの場に戻して、
お金は稼げないようにしなくてはならない。
印刷製本の実費程度は取るとしても、それ以上は元の作品の作家に渡すとか?
なかなかすぐにはどうするのが良いか思いつかないけど。
でも、稼げなくなったら離れちゃう人も多いだろうね。

もう随分前の事になるけどね、
出版バブルと言われていた時期、マンガは出せば何でも売れる状態だったので、
出版社が新人発掘の為に同人誌の人達を引っ張って来て描かせ始めた。
う〜ん、「同人作家」なんていう言葉は嫌なんで使いたくないんだけどね、
同人誌で人気のある作家を囲い込んで、雑誌の読者増を狙った。

それまでの商業誌で作られてしまっていた枠から外れた新しい才能もあって、
中には成功した例もあったのだけど、
「スカウト組」と自らを過信した挙句、商業誌ペースについていけなくて
ドタキャンを繰り返して、散々雑誌に迷惑をかけて自滅していった人も多かった。

同人誌から直接商業ベースに移行させるのは無理があるという事。

金儲けに気を取れれると、大事な事が抜けてしまう。

(続く。)

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【2015/06/23 (火) 18:05】 | 仕事情報
トラックバック() | コメント(1)

無題
メリーベル
出版バブルの時の業界内はそのような状態だったんですね…。
貴重なご意見を聞かせて頂きありがとうございます!

今の時代とは大違いなのでしょうが、今でも同人作家をスカウトするのは結構ありますよね。
今とバブルの時と違うのは、今は生え抜きを育てる余力が雑誌社にないから、というのも大きな理由のような気がします。
そう思うと「どこかから使えるものを取ってきて使えばいい」というかのゲームの盗用と同じく、コミケで即戦力をスカウトする、というのとは、根っこが共通しているような気がします。
一から育てようとしないで、安易に即戦力を求める、というのが今の風潮なのかもしれませんね。

ちなみに、かのゲームは舞台化が決定したそうで、おそらくだいぶ前から舞台化の交渉は進んでいたのだろうと思われますが、その発表直前に盗用検証サイトが突然削除されたりして、裏側では何やら不穏な動きを見せているようです。
人気が出て舞台化やグッズ販売や、各方面とつながりを持ってしまっただけに、盗用騒動の方は早急に沈静化したいのでしょうかね…。

先生のお手をこれ以上煩わせるのもご迷惑かと思いますので、コメントはこれで最後にします。
(でも、ブログはこれからも読ませて頂きますね♪)

本当にありがとうございました!


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コメント
この記事へのコメント
無題
出版バブルの時の業界内はそのような状態だったんですね…。
貴重なご意見を聞かせて頂きありがとうございます!

今の時代とは大違いなのでしょうが、今でも同人作家をスカウトするのは結構ありますよね。
今とバブルの時と違うのは、今は生え抜きを育てる余力が雑誌社にないから、というのも大きな理由のような気がします。
そう思うと「どこかから使えるものを取ってきて使えばいい」というかのゲームの盗用と同じく、コミケで即戦力をスカウトする、というのとは、根っこが共通しているような気がします。
一から育てようとしないで、安易に即戦力を求める、というのが今の風潮なのかもしれませんね。

ちなみに、かのゲームは舞台化が決定したそうで、おそらくだいぶ前から舞台化の交渉は進んでいたのだろうと思われますが、その発表直前に盗用検証サイトが突然削除されたりして、裏側では何やら不穏な動きを見せているようです。
人気が出て舞台化やグッズ販売や、各方面とつながりを持ってしまっただけに、盗用騒動の方は早急に沈静化したいのでしょうかね…。

先生のお手をこれ以上煩わせるのもご迷惑かと思いますので、コメントはこれで最後にします。
(でも、ブログはこれからも読ませて頂きますね♪)

本当にありがとうございました!
2015/06/23(火) 19:57 |   | メリーベル #9c9ef9597[編集]
[管理者用 返信]
Re:お話し面白かったです
ゲームに関しては全く知識が無いので、今回の事件?のお話はとても興味深くて面白かったです。
刀剣女子ブームがTVのニュースでも紹介されていたくらいでしたから、ご指摘の通り、裏舞台は大変な事になっていたのでしょうね。
問題箇所を作り直すなり、修正がされるかな。
製作者も、ここまでの人気は予想してなくて、内輪的に楽しんで作ってたりしたのかな。
検証サイトが削除されちゃったなんて...。早めに教えてもらえて良かった!(笑)
また何かこれは、というお話があったら、いつでもコメント下さいね。
2015/06/24(水) 01:02 | たまいまきこ

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