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マンガ家Mの日常
手間を惜しんで何も調べないのは手抜きと言われても致し方無く、
その点のご批判があればお受けするしかありませんが。

ネットの記事では作中の2コマが紹介されていただけなので、
作品全体の成り立ちやシチュエーションが分からない。

作品の主人公なのか、ジェンダー・バイアス排除について語っている、
センスが良いクールな美女。
こういうアンニュイな雰囲気が作者の作品の個性なのだろう。
ジェンダー・バイアスに切り込む姿勢はとても大事。

でも、ちょっと引っかかってしまった。

美女がジェンダー・バイアスについて語って、
果たしてどれだけの説得力があるのだろうか。
この美女が人生の中で、ジェンダー・バイアスで不利益を被った事があるだろうか。
あったとしても、利益が不利益を遥かに優っているだろう。
彼女を、知的でクールで、可愛げが無いと感じる男性がいたとしても、
おそらく、同様に知的でクールでハイセンスな男性が接近してくるだろう。
彼女が苦難の渦中にあるとは思えない。

そして、まず、
ジェンダー・バイアスに囚われている多くの女性達は、
聞きなれない「ジェンダー・バイアス」という単語にたじろいでしまう。
知的でクールでハイセンスな単語を振り回す美女に近寄り難さを感じ、
それよりは、生暖かいジェンダー・バイアスの中に埋没する事を選んでしまう。

せっかくの主張であれば、何かもっと説得力のある状況の演出が欲しかった。

鮎原こずえもオスカルも岡ひろみも、
身近な男性と恋に落ちたり、男性のサポートを得たりはしているが、
ぶれる事なく自分自身の目標に向かって突き進んで行った。
そういう姿勢を示すヒロインを描く事が、
ジェンダー・バイアスを突き崩す力に繋がる。

以前、「ホラーM」の担当者から
「たまいさんのヒロインは目標を持って進むタイプですね。」と言われた。
その担当者には、読者アンケート獲得の為にも、
恋愛要素をもっと入れるよう言われてもいたのだけど、
読み手として理解を示してもらえたのが有難かった。

ハーレクインは恋愛メインのジャンルだけど、
原作を改変しつつ、働いて自立するヒロインを描くよう努めた。
少しでも読者の方々に伝わっていればと願う。


批判めいた話が続いてしまったけれど、
作者の方には大いに賛同します。
ジェンダー・バイアスを少しでも排除出来るよう、ご活躍を期待します。


蛇足ですが、
作品の画面がやたら白いのが気になった。

そりゃ、まぁ、画面を埋め尽くせば良いってもんでも無いし、
作者の個性でもあるだろうし、
重要なセリフに焦点を当てる為に、セリフ部分をメインに画面構成したと、
見て取れなくも無い。
そしてまた、昨今、出版不況でマンガ家の懐具合も微妙な上に、
アシスタント志望者も少なく、人手が足りない。
シンプルな画面を個性として描く事で、仕事量をこなせているのかもしれない。

でも、やっぱり、もうちょっと、画面に
色(注/カラーで描くって事じゃなくて、色艶の意味ね。)が欲しいかなぁ。

(このテーマ、終了。)


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