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マンガ家Mの日常
内田康夫先生の原作ものはこれで最後。


ネタバレあります。
再録ですけど、未読の方は、
今月20日頃ぶんか社より発売予定の「このミステリーが面白い!」で、読んでから、
こちらのブログを見てね。


見返すと、やはり、話の流れが分かり難い気がする。
エピソードを省いてコンパクトにしようにも、
人間関係の複雑さによる事件の為、エピソードを省いては成立しなくなってしまう。
登場人物が多い事から、読者の感情移入の対象が絞りきれないのも良くない。
元々、少女マンガの為の原作ではないので、と言うしかない。

当時の担当編集者は、内田先生の作品があまり好きではなくて、
2、3問題点を挙げており、それが今作にも当てはまる。

担当編集者が挙げていたのは、
優等生的に話を収めようとする為、犯人が自ら命を絶つ形で締めくくる事が多い点。
そういう設定を否定する訳では無いけれど、内田先生の作品では確かに多い。
大量生産していれば、似通った設定を使いがちになるのはよくある事。
また、今作は岡部警部ものだけど、
浅見光彦シリーズにおいては、光彦が安易な正義感を振りかざすのが嫌だ、と
その編集者は語っていた。

今作に限らないのだけど、
ストーリーの展開上、無理やりな感のある殺人も多くあって、
回を重ねる毎にシンドくなって来てしまっていた。
ただのフィクション、ただのマンガ、とは言え、
それなりに感情移入しなければ絵は描けないので、
無意で残忍な殺人の場面を描くのは精神的に辛い。
それは結局、私自身が原作に納得しきれていなかったからだと言えるかもしれない。

十分なページ数が使えて、心理描写をじっくり描き込められれば、
もっと納得いくものになったと思う。

与えられた状況下で、やるべき事はやった、と思う他無い。







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