編集さんと仕事の全体像についての話をしていると
いつも同じ展開になってしまう。

編集さんの要求ははっきりしている。
出来の良い原稿を締め切りキッチリに欲しい。
読者は手抜きを嫌がる、と。

マンガ家側の要求もはっきりしている。

まず、良い原作が欲しい。
個人的にはオリジナルを描きたくてマンガ家やってる訳だけど、
ハーレクインの場合は企画として原作ありき。
原作があまりにも希薄な内容だったので、看板だけ同じようにして、
ほぼ中身はこっちで作ると言うのも提案した事があったけど、
あんまり中身が違うとそれもちょっとマズイらしい。
まぁ、そうかもね。

でも、だからって、
面白く無い原作をそのままマンガになんて出来やしない。

実際、どうしてこういう小説が販売されたんだか、
首をひねるようなものが大半を占める。
呆れる。日本のマンガはもっとレベルが高い。

良い原作がなかなか回って来ない。
マンガにするに値する良い原作は何処にあるのだ？　まず、あるのか？
まともな作品はこういう企画が始まった最初の段階で
ほぼ描き尽くされてしまってるんだろう。

ここ暫くは、原作の不足や破綻を修整する形でネーム作りしているけど、
不出来な原作の尻拭いにも限界はある。
破綻してるもんは破綻してるんだから、ちょっとやそっとじゃどうにもなんない。
修整には新作を作るのと同じか、それ以上の労力が必要。
で、楽しく無い。

ホントを言えば、ここ２、３作は原作とは殆ど違うものになってるんだよ。
読み比べてもらえれば分かる事だけど、
マンガの読者はハーレクインの原作の方は読んで無いみたい？
元がペーパーバックだから、少し前のはもう手に入らないだろうしね。

そこまで必死にやっているのに、原稿料や印税は低く抑えられている。
せめてまともな生活が出来るレベルに、
マンガ家の貢献度を考慮して原稿料を上げて欲しい、とお願いすると、
「原作料を支払わなければならないから、それは出来ない。」と言う回答。

本来マンガ家の取り分であるところから原作料が支払われている。
（ハーレクインに限った事ではないです。）
だったら、尚の事、原作料に見合うまともな原作を出して欲しい。

これでは仕事のモチベーションを保てなくなる。

良いマンガ原稿を望むのであれば、
それに見合う原稿料を用意するのが筋だと思うよ。
手抜き作品がイヤなのは当然だけど、
手をかけた仕事にはお金もかかる。

６０万円で車を購入しようと思ったら、中古の軽で我慢するしか無い。
新型のベンツに乗りたければ、６００万円用意する。
それがまともな経済活動。

...原作を尊重して、意見は抑えめで出して来たけど、
編集さんから「正直じゃない。」と言われてしまったので、
少しだけ正直に書いてみました。
少しだけね。