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マンガ家Mの日常
次回作の原作候補をいただいて、検討もしてはいたのですが、
ハーレクインのお仕事は今回で終了となりました。
編集さんの判断です。

一番の問題点としては、
マンガにする、きちんとした原作をいただけない事にありました。

個人的意見はさておき、
マンガ家として読者に提供出来ない作品は描けないので、
編集さんから与えられた原作でマンガを描くのであれば、
相応の変更が必要になる、と再三お話してきたのです。

編集部の方ではそうした意見を受け入れられなかった。

実際はこれまでも随分改作して来たんですけどね。
編集さん、気づいてなかったのかな?
読み比べていただければ、
原作とは構成もエピソードも、キャラクターも、テーマも変わってますよ。

そうしなければ、読者の方々に納得いただける作品を提供出来なかったからです。

はっきり言って、
原作より遥かに良くなったと自負しています。

勿論、「原作」は尊重しています。
でも、それは、他者の作品として、です。
マンガにするにあたっては、自分の作品でもあるので、
破綻した内容を放置する事は出来ませんから、
徹底的に作り直します。

それをダメだって言われたら、私、どうしたら良いんでしょうね?

ここ3年くらい、良い原作をもらえなくなっていました。
ハーレクインは膨大な小説を抱えていても、
読むに値する作品はほんの一握り。
そのネタがもう尽きている事は何となく分かっていました。

じゃあ、ダメな原作で描くにはどうしたら良いか?

作り直すしかありません。

打ち合わせも何も全く無く、マンガ家に丸投げで、
ダメな原作ばかり寄越されて、作り直しちゃダメって言われて、
それで売れるマンガを望まれても...。全く矛盾しています。


今朝、受け取りの人に原稿を渡したら、
その直後に担当さんからメールが来て、今後の仕事は無い、との通告。

まぁ〜、
それがハーレクインのやり方なら仕方無いですね。
原稿渡した直後ってとこがスゴいね。
そう言う価値観なんだな。

メールでっていうのが、笑えちゃう。
まともに人と面と向かって話も出来ないのね。呆れる。
一般社会人としてどうなのかな。
そう言う会社が増えてるらしいけど、
これでは人としての信頼関係を結べないね。

これまでも、仕事の打ち合わせも何も無く、
色々伝えてもレスポンスも全く無く、意見も無く...、
ずっとそんな状態だったからなぁ。

次回作の候補を渡されていて、
今後の原稿料についての話も聞かされていて、
それが、原稿を渡した途端に仕事を切って来るんじゃ、
さすがにちょっと戸惑います。
最大の問題は原作の事なんだけど、
改善策を検討するような話し合いも何も無いままって、
それじゃどうにもしようが無いね。
8作毎に原稿料を500円ずつアップする手筈だったそうで、
次回から500円上がる事になってたから、それが問題のひとつだったかもね。
500円て...。

いきなり仕事が無くなるのはびっくりだけど、
現実的に、ハーレクインの仕事には限界が見て取れていたので、
終わるなら終わるでも良いかな。
出版社の儲けの為だけに、おかしな原作の尻拭いに奔走させられて身体を酷使して
残り少ない人生を費やすのは悲しいので。
...正直、終わってホッとした感じもある。

他のマンガ家さんはどう折り合いをつけてるんでしょう?
生活の為に、と割り切ってるのかな?
好きで、苦労して描いてきてるマンガで、
そう言う妥協を強いられるのは悲し過ぎる。


今すぐ先の事は見えないけど、
ちょっと身体と心のお休みを取って、
別の仕事に目を向けていきます。

ハーレクインでは疲弊するばかりで、
頑張って良い作品を描いたところで、全く収入にならなかったので、
だったらいっそ、収入に直に繋がらなくても
納得のいく良い作品が描ける方向を探します。
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