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マンガ家Mの日常
2005年、ラファエル・ナダルが
全仏の最強王者としての歴史をスタートさせる、
ガストン・ガウディオは その前年、2004年の全仏優勝者。
アルゼンチンの選手だからクレーには強い。
でも、この10〜20年のテニスの王者の記録を辿った時、
最も影の薄い(失礼)王者では無かろうか。

2004年は王者達の歴史の谷間だったのか?
ナダルはまだデビューしたばかり、
王者フェデラーはクレーが苦手、
元のクレー王者クエルテンは故障...。

決勝の対戦相手は同じアルゼンチンのギジェルモ・コリア。
コリアもまた王者というポジションに足を掛けてはいなかったが、
この頃は好調でランキングも上がり、注目株だった。
それに対し、ガウディオはダークホース。
どちらもクレー育ちではあっても、身体も小さく、
このふたりが決勝を戦うとは、だれも予想してなかったんじゃないだろうか。
コリアはまだしも、ガウディオは...。

決勝戦、ランキング通り、コリアがガウディオを圧倒した。
ところが、中盤になってコリアが身体の不調を訴える。
それまでの試合で溜まった疲れが急に出たんだろう。
ガックリと、素人目にもわかる程に動きが止まる。
第5セットまでもつれ込んで、コリアもなんとか復調の兆しを見せたものの
時すでに遅し。
ラッキーなポイントなども味方して、ガウディオが押し切った。
誰も、誰も予想しなかった結果。

その前も、その後も、ガウディオに目立った活躍は無い。
優勝はフロックだったと言われても仕方無いかもしれない。

でも、ガウディオは、生涯でただ一度のチャンスに
決死の思いで挑み、掴んだ。
そして、テニスの王者のネームプレートにその名を刻んだ。
それだけが、まぎれも無い確かな真実。
誰でも人生に3度は大きなチャンスが廻って来ると言われる。
そのチャンスに挑む、決死の覚悟、
それがあるか無いか。
ガウディオにはそれがあった。

この決勝戦はコリアにとっても滅多に廻って来る事の無い大舞台だった。
コリアに決死の覚悟が無かったとは思わない、ただ運が悪かっただけだろう。
でも、薄紙よりも更に薄い、際どい差がふたりの間にはあったのだろう。

コリアがグランドスラムの決勝の場に立つのもこの時が最初で最後だった。
(...万が一記憶違いだったら後ほど改めます。)

錦織圭選手を見る時、どうしてもガウディオの事が頭をかすめる。
身体の大きさを考えると、錦織君がグランドスラム決勝戦に出るのも、
一生に一度、あるか無いかの確率だと思う。

その時、錦織君には「ガウディオ」であって欲しいと願う。

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