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マンガ家Mの日常
「ホラーM」では数年前からコミックのデジタル配信を始めていました。
特にチェックしてはいなかったので、どういう状況だったかはわかりません。

或る日の仕事中、デジタルの話題になった時、
アシスタントに来てくれていた方から、
私の作品も「ホラーM」のデジコミに出ていると聞かされました。
その時は、雑誌がデジタル配信されているなら、
連載中の作品が出ているんだろう程度に考えていたのですが、
そうではなかった事が 後になってわかりました。

暫くしてから、前に掲載された読み切り作品を3本まとめて
デジコミ配信したいという申し出が会社からあって、
契約書を渡されました。
作品がより広い範囲の読者の目に触れるのですから、
デジコミそのものには異論は全くありません。

ところが、契約書が目を覆いたくなる程酷かった!
マンガ家が他人の著作権を侵害した場合について
何項目にも渡って書かれてあって、
まるで泥棒呼ばわり。
更に、出版社と配信会社は マンガ家に無断で作品を作り替える事ができ、
挙げ句に、作品を見た第三者が何らかの攻撃をして来た場合、
マンガ家だけで対処する事、
「出版社、配信会社には迷惑をかけるな。」とまで書かれてあったのでした。

勝手に作品を作り替えて、危険は全部マンガ家におっ被せるって、
どういう事っ?!

契約書は常に強い者の味方で、これまでもそれを承知でやって来ましたが、
今回のはさすがに酷過ぎる。
あまり気にせずに 割り切って受ける方もおられると思いますが、
それをしたら、私は自分の身を守れなくなる。
契約書について改正点を挙げて Tさんに伝えました。

でも、会社側は一切応じるつもりがなかったみたい。
どうやら他のマンガ家さん達はそのまま受け入れているらしく、
私のだけ変える訳にいかないんだって。

ずっと後になってから話を聞いたところでは、
出版社とプロのマンガ家との信頼関係で成り立っているマンガの世界と違って
デジタルの方はまだ無法地帯的だもので、
配信会社が特にキツい内容の契約書を作って来ているのだとか。

だとしても、マンガ家は配信会社とではなく 出版社と契約を結ぶのだから、
出版社がきちんとした契約書を作成すれば それで良い話の筈。
それを何でサボるんだろう。

結局、元のままの契約書では危険なので、
デジタル配信はお断りしました。

ところが、実は会社では既に私に無断で(勿論契約書もなしで)
コミックのデジタル配信をしていたのです。
それが冒頭で書いた事の裏事情でした。

続く。
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