デミ・ムーア主演のホラースリラー映画。
その美貌で一世風靡したハリウッド女優エリザベスは、
年齢とともに忘れ去られつつあった。
長年メインを務めたエクササイズ番組からも降板させられ、
ショックから、帰路に交通事故を起こす。
軽傷で病院で治療を受けると、若い医師からUSBメモリを渡される。
USBを開くと、若さを取り戻す医療「サブスタンス」の宣伝が現れた。
自暴自棄で、藁にもすがる思いから、薬を注入すると、
エリザベス自身が分裂して、若い「自分」が誕生した。
2体は安定薬を注入し、1週間ごとに交代するスケジュールで身体を保つ。
若い「自分」はスーと名乗り、エリザベスの番組のオーディションを受けて合格。
セクシーな美貌で、一気にスターになる。
多忙になったスーはもっと若い体のままの時間を欲しがり、
エリザベスの身体から安定薬を抜いて、自分に注入し始める。
薬を抜かれたエリザベスは急激に老化が進む。
「サブスタンス」からは、2体は1人のエリザベス自身だと聞かされていたが、
2人は自分勝手になり、互いに憎み合うようになる。
老いさらばえた姿になったエリザベスは、薬品の中止を決意。
しかし、スーの美しい姿と大抜擢された番組を考えて、やり通せなかった。
年末特番の司会者に抜擢されたスーは現場に向かうが、
安定薬が足りず、身体が崩れ始めた。
慌てて自宅に戻り、残っていた原液を注入するが、
1回限りとされていたもので、身体が激しく反応し、
肉塊のようなモンスターに変貌してしまった。
そのまま衣装を身にまとい、番組収録会場に行き、破滅状態となる。
わずかに残ったエリザベスの顔の部分が、
ウォーク・オブ・フェームの自分の星に辿り着き、完全に溶け去る。
大まかなあらすじは分かっていたし、
怪しげな若返り薬に手を出したところで、もう先は見えていたのだけど、
分かっていても、やっぱり気味が悪くて怖かった。
それでも、内心のどこかで、エリザベスに助かって欲しいという思いがある。
若さと美貌を失うのが、女性にとってどれほど辛い事か、皆が知っているから。
エリザベスやスーの若さを消費するのが、
ゲスなプロデューサーと高齢のスポンサー男性達という皮肉。
前半は「ドリアン・グレイの肖像」や「イブの総て」「サンセット大通り」
といった作品を想起させる。
終盤の会場での激しい血飛沫は、「キャリー」のイメージかな。
どのような形でエンディングとなるのかが焦点で、
会場の人々全体に血飛沫を浴びせたのは、
エリザベスの若さと美貌を消費した観衆への復讐でもあったような。
実際にハリウッドでは、女優は30歳、40歳を超えるに連れ、仕事が激減する。
冒頭のエクササイズ番組は、80年代のジェーン・フォンダを思い出させる。
エリザベス同様、当時のジェーンは50歳前後で、
美魔女の走りのような存在だった。
それでも、その後はボトックスやヒアルロン酸注入のような美容整形で、
顔の変化にマスコミの好奇心が注がれた。
エリザベスには家族も友人もおらず、
デートしようとしても、老けた容姿が気になって、すっぽかしてしまう。
内面が空っぽ。
先日観た「アーサーズ・ウィスキー」でも若返りがテーマだったが、
70代の高齢女性達は今の自分達の生き方を受け止めていて、
若さを引き止めようともがく事はしなかった。
今作はあくまでも寓話的な見世物で、
極端に誇張したモンスターの姿が非現実性を示している。
とは言え、
やはり、若さと美貌の問題は他人事ではない。
誰もが抗いたい。
英国のサスペンスドラマのミニシリーズ全8話。
並外れて高い知能を持つ女性アイリスは、
投資家キャメロンが企画した暗号解読ゲームでいち早くゴールを決め、
スロベニアの秘密基地に案内され、
巨大量子コンピューター、通称「チャーリー」に対峙させられる。
設計した天才科学者ジェンセンは、チャーリーの危険性を察知して、
破壊しようと試みて拘束、軟禁された。
チャーリーの起動にはジェンセンが設定した高度なパスワードが必要となる。
キャメロンはジェンセンが書き記した日誌を元に、アイリスに暗号解読を依頼。
アイリスは解読完了に迫ったが、ジェンセンが察知した危険性が気になり、
途中で日誌を持って、イタリアのサルデーニャ島に逃亡する。
チャーリーの設計には天文学的に莫大な費用が投じられており、
超大富豪の投資家の目的は、
進行性の難病に苦しむ娘の治療法をチャーリーに見つけ出させる事だった。
チャーリーを起動出来なければ、キャメロンは命を奪われかねない。
懸賞金を出してアイリスを追う。
進展が見られない焦りから、投資家は代表者のピムを派遣して、
キャメロンを更に追い込む。
アイリスは懸賞金目当ての汚職警官チームに狙われ、追っ手を倒すが、
それによって追跡が激化し、命がけの逃亡劇を繰り返す羽目に陥る。
ジャーナリスト志望のユーチューバーのアルフィーが
アイリスに関する情報を発信している。
アイリスは、ネタを独占提供すると約束して、助けを依頼する。
かろうじて生き延びたアイリスは、チャーリー爆破を目論み、基地に向かう。
ジェンセンから説明されたように、チャーリーは学習し、成長し、
基地にいる人の行動を操る技さえ習得していた。
戦いの果て、多くの人々が犠牲になり、アイリスはチャーリーを破壊する。
暗号解読の謎解きをもっと期待したけど、
アクション場面に重きが置かれていたようだった。
諸々のアクションシーンは凄まじく、よくも悪くも見応えがあったかな。
同時に、ここでこの人が死んじゃうんだ、というのも多かった。
量子コンピューターやら、宇宙の数学的法則やら、わかる筈もなく、
それでもそれなりに興味深かった。
ただ、その分、暗号解読とアクションにSF的要素まで加わって、
盛り沢山になって、やや散漫な印象。
でも、思い起こせば、ダン・ブラウンのラングドン・シリーズに似てるかも。
信用した不倫彼氏や、教え子のジョイ達から次々と裏切られ、困った困った。
そうしたところは、知能の高さに反して、脇が甘い。
ジェンセンのDNAの話は?とか、
ジョイはどうしてキャメロンにベッタリになるの?とか、
曖昧なところも多くあったような。
量子コンピューターの自我の暴走というテーマは、既に目新しくはないけど、
様々な設定やエピソードに面白さはあった。
それだけに、全体の詰めの甘さが惜しい。
いつも通りに記入していたのだけど、
申告会の税理士さんからあちこち修正を求められた。
今年から税務署もAIを導入するとかで、機械的判断で粗探しされるらしい。
面倒だね。
私ごときの収支で手間かける必要無いのに。
来年からは、少し変更しての記入となる。
メモっておかなきゃ。
あの「文春」が、小学館で仕事中の作家の事件を暴露した。
「マンガワン」は、小学館のマンガ作品の配信部門。
元の事件がかなり酷い。
マンガ家としてマンガワンで作品を配信していた作家が、
北海道の通信制高校で美術の教師もしていて、
2018年から、特定の女子学生に対して、3年間性的虐待を繰り返していた。
女子学生はPTSDを発症。
2020年に訴えを起こすが、最終的には示談で、起訴は取り下げになったらしい。
小学館の担当者は、作家に弁護士をつけるよう進言する等の形で関与していた。
小学館は事件を受けて、当時連載中だった作品を打切りにした。
実際の謝罪等が速やかに進んでいない中、
2年後には、作家のペンネームを変えさせて、マンガ原作者として仕事を依頼。
しかし、2025年、作家が再び性加害事件を起こして、
今回の「文春」の報道に至る。
更には、同じく小学館のマンガ原作者で、
以前、何らかの性加害事件を起こしていた方の名前も公表されてしまった。
その方は、事件以後、謝罪と反省、カウンセリングも受け、
適切な期間を置いて、仕事復帰。
仕事の際には、担当者を交え、作画者にも事件について説明し、
了解を得た上で仕事を進行していた。
小学館は連載を打切り、配信停止とし、声明文を公開。
高らかに「人権」を謳っているが、保身としか見られない。
ショックを受けた一部のマンガ家はマンガワンでの自作の配信停止を要請。
小学館主催のマンガ関連のイベントは軒並み中止となった。
最も重要なのは被害者の保護であり、
最も責められるべきは加害者であるのは間違いない。
ただ、小学館の姿勢、人権意識には大いに疑問が残る。
(続く。)
アレクサンドラ・ラパポルト主演のサスペンスドラマのミニシリーズ。
ヴェロニカは幼い頃、父親の死をきっかけに、死者の姿が見えるようになった。
成長して刑事になってからもその幻覚を度々見て、精神的に不安定で、
2度程精神科に入院経験がある。
ある日、犬の散歩中に、犬が白骨死体を発見すると、
再び死者の幻覚を頻繁に見るようになった。
検視によって、5年前に失踪した16歳の少女ハンナと判明。
ヴェロニカは幻覚で現れる別の少女や幼い少年との関連性を探る。
ヴェロニカはハンナの日記を発見して、「T」という男性が怪しいと見る。
ハンナの人間関係から、別の事件で拘留されていた男性や、
ヴェロニカの夫で音楽教師のトーマスにも疑いをかけるが、空振り。
やがて、「T」は水泳のコーチを意味する「トレーナー」だと思い当たる。
幼いヴェロニカは父親の死を予言して、
父親が仕事に出かけようとするのを止めようとしたが、叶わなかった。
その日父親が死亡し、母親はヴェロニカの幻覚を恐れて、向精神薬を与え続け、
ヴェロニカは依存症に苦しめられた。
父親が事故で亡くなったと思われていた炭鉱のオーナーは、
ヴェロニカと母親の生活を支えるべく、長年援助をしてくれた。
オーナーの邸宅でその話をしていると、家族写真が目に入る。
そこには、息子である水泳コーチと妹が写っていて、
妹はハンナや他の少女がつけていたのと同じ、蝶のネックレスをつけていた。
水泳コーチは妹を偏愛して性的虐待を加えており、妹はのちに自殺。
ヴェロニカの父親は、偶然性的虐待の現場を見て、警察に通報しようとして、
オーナーに殺害されたのだった。
水泳コーチは亡くなった妹と同世代の少女に固執し、襲って殺害していた。
幼い少年はその現場を見て、殺害されてしまった。
その頃、ヴェロニカの娘が水泳の個人特訓を受けていた。
ヴェロニカはプールに駆けつけ、娘を救う。
「凍てつく楽園」は90分枠のサスペンスシリーズで、
既に25作公開されているロングヒット。
主演のラパポルトは、
2時間ドラマの女王、スウェーデンの「片平なぎさ」なのかなと思いつつ、
検索すると、主に舞台で活躍している女優らしい。
ポップな「凍てつく楽園」に対して、「刑事ヴェロニカ」は重苦しい感じ。
死者の幻覚で犯罪捜査を行うという設定は
「霊能者アリソン・デュボア」を思い出させる。
ドラマの中でも指摘されていたように、幻覚を元に追った証拠では、
裁判で証拠として採用されない。
その辺りが今作ではあまりうまく処理できていなかったように思える。
それでもラパポルト人気故か、本国ではヒットして、
シーズン2、3と制作が進行しているとか。
もう少し、洗練されるよう期待する。

