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マンガ家Mの日常
ネタバレ注意。


スウェーデンのサスペンスドラマのミニシリーズ。
録画していた全6話一気見。


ルーマニアの首都ブカレストで、リディアはカフェで働いていたが、
客の男性ルチアンと親しくなり、
スウェーデンのレストランで働くよう勧められる。
しかし、面接に行くと、そこで待っていたのは売春組織だった。
監禁され、パスポートを取り上げられ、暴力で脅され、売春に従事させられる。
リディアは友人となった仲間のアリーナの協力を得て逃亡計画を練り、
客からくすねた金を貯めて、中央駅のロッカー21番に隠す。
しかし、計画がルチアンにバレて、ボスのヤーヌシュに半殺しにされる。
見かねたアリーナは警察に通報。
リディアは病院に運ばれ、保護される。

リディアは回復すると病室を抜け出し、
あらかじめアリーナに買い揃えてもらっていた道具類を携えて、
死体安置所で授業中の教授や学生達を人質にして立て籠もる。
ストックホルム警察の人質交渉人トビアスが来ると、人質を全員解放し、
トビアスと共に、手製爆弾で自爆を図る。

同僚の刑事エーヴェルトは別件の事件を捜査中だったが、
捜査対象者が爆破の現場にいた事もあって、爆破事件の捜査に当たる。
若い女性刑事マリアーナの熱意も力となり、事件の背後に迫ると、
トビアスが売春組織のボスであると明らかになって来た。
しかし、エーヴェルトは親友だったトビアスとその家族の為に、
真実を伏せてしまう。
故郷のルーマニアの小さな村に帰国したアリーナはルチアンに殺害される。
ルチアンは売春組織のボスから、また少女を騙して連れて来るよう命じられる。
少女がスウェーデンに連れて来られると、
そこで待っていたのはトビアスの妻レーナだった。


他、スウェーデンのギャング組織ミッケやヨックム達の
エピソードも描かれているのだけど、
売春組織の事件と直接関係は無いので、この記事では割愛。


なかなか骨太のドラマでした。
原作は「熊と踊れ」のアンデシュ・ルースルンドと、
ベリエ・ヘルストレムによる共作。

トビアス役サイモン・J・バーガー(本国の発音シーモン・J・ベリエル)は
同時期にWOWOWで放送されたダークコメディ「EXIT」で
傲慢で冷酷なビジネスマンを演じていて、
今作で、まず、エーヴェルトの心優しい同僚として登場した時、
おや?と思ったら、やっぱり冷酷な悪役だったという展開。
まだWikiとかにも記事が出てなくて、詳細は分からないけど、
スウェーデン含め、北欧の有名人気俳優はそう多くないのか、
北欧ドラマを見ると、同じ俳優がピンポイントで登場するケースが多い。
今後、北欧の映画やドラマが市場を拡大していけば、
もっと知名度が上がるんだろう。

リディアが、実は、元は優秀な成績で地元の警察学校を卒業したけど、
同じく警察官である父親が、警察内部の汚職を告発して殺害され、
その煽りでリディアの警察官への道も閉ざされたという過去があった。
聡明で、化学の知識もあった事から、緻密な復讐計画を練り、成功させた。
(「その女 アレックス」を彷彿とさせる。)
新聞を見てトビアスが人質交渉人であると知り、人質を取って誘き寄せた。
売春組織を主導するトビアスはルーマニアとも深い繋がりがあったので、
個人的に、リディアの父親が殺害された事件との関連があるかのように、
ちょっと誤解して混乱してしまった。

売春組織のボス「ヤーヌシュ」であるトビアスが死んだ後も、
「ヤーヌシュ」による支配が継続していた。
本当の「ヤーヌシュ」は誰なのかという疑問が続く。
でも、ドラマの登場人物は限られているので、おおよその見当はつくから、
正体を知っても意外とまでは言えなかったかな。
おそらく「ヤーヌシュ」というのは二面顔の神ヤヌスから来ていて、
今作では、人の二面性と共に、2人の人物の存在を意味していたのだろう。

売春組織の摘発はうやむやになり、
改心していたマフィアのヨックムやサムは悲劇的な形で命を落とす。
色々救われない話。
「熊と踊れ」の原作者の作風を思い起こせば、
こうした冷酷な結末に思い当たる。

勿論、今作はあくまでもフイクションなのだけど、
裕福な北欧の国が貧しい東欧を食い物にしている現状が垣間見える。
北欧の福祉や幸福度等を仰ぎ見る一部の日本人が白々しく思える。
「EXIT」の第2シーズンでも、主人公がポーランドからの出稼ぎ労働者達を
卑下するセリフがある。
今時の日本のコンプライアンスからすると、
差別的として排除されるであろう場面なんだけど。

原作は刑事のエーヴェルトが主人公のシリーズ物の2作目だそうで、
ドラマの方もシリーズ化されるのかどうかは不明。


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