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マンガ家Mの日常
寝るまでに少し時間があって、でも2時間の映画1本見るほどではなくて、
1時間くらい見たら中断しても良いような映画を見ようかと、手を着ける。
2時間半もあるし、タイトルからしてちょっとつまんなさそう。

と、思っていたら、最後まで一気に見てしまった。

「マイ・ウェイ」と言えば、帝王フランク・シナトラの歴史的代表作で、
作ったのはポール・アンカだって事までは知っていた。
でも、ポール・アンカは英語の作詞だけで、
作曲はフランスの歌手クロード・フランソワとジャック・ルヴォーなんだって。

で、この映画は、そのクロード・フランソワの生涯を描いた作品。
60年代から70年代にかけて、国民的歌手とまで謳われた
フレンチポップのアイドル的存在だったそうなんだけど、
さすがにその辺りの事は知らなかった。
この時代の男性アイドルの風貌って、今見るとかなり微妙。

かなり波乱万丈のジェットコースター人生。
父親がスエズ運河会社の重役で、エジプトで少年時代を過ごしていたのだけど、
動乱でスエズ運河がエジプト国有化され、追われるように国外脱出。
完璧主義でオシャレだった父親は生きる意欲を失い、不遇のまま他界する。
母親はギャンブル依存症で、スエズ運河会社からの賠償金をすってしまう。
姉は普通。
クロードは子供の頃からヴァイオリンを習わされる等、音楽に親しんでいたので、
父親の反対を押し切ってミュージシャンを目指す。

最初こそ苦労したが、努力の甲斐あってレコード会社と契約し、ヒット曲連発。
顔も若干お直し。一気にアイドルスターに上り詰める。
しかし、人気は儚いもの。
信頼出来るマネージャーの助言も聞き入れ、常に新機軸を模索し、
地位をキープし続ける。

この辺りの頑張りはなかなか凄い。
個性とか芸術性はどうなのかなと思わなくは無いんだけど、
その時代時代の新しい音楽を躊躇わずに受け入れ、作曲に生かしていく。
オーティス・レディングの大胆なステージを見ては、リズムやステップを研究し、
コーラスやバックダンサーとして、当時のテレビ界では初めて黒人女性を起用する。
70年代に入れば、ディスコサウンドも意識して取り入れる。
人気が低迷しかけると、ステージ上で倒れて緊急入院、
そして休養後復活のステージで話題独占、等といった演出もやってのける。
作詞作曲も精力的に手掛け、ダンスも自らチームを指導し、衣装デザインもこなす。
更には、レコード会社を買収、出版社も立ち上げ、
自らがカメラマンとなってグラビア雑誌を出版。
浮き沈みはありつつも、他にも幾つかの事業をこなしていたらしい。

最初の苦労時代が教訓となったのか、とにかくセルフプロデュース力が凄い。
父親譲りの完璧主義もあったのか。潔癖性っぽいところもある。

ついでに、女たらしも父親譲り。
国民的アイドルだから、女性に不自由はしない。
歌手やダンサー、ファン、と、よりどりみどり。
ファンの女性に対しても、今とは事情が違うのか、
キスしたり髪を撫でたりのサービスは当たり前。いやはや、凄い。
自宅や会社の前には常にコアなファンが大勢待ち構えてる。
自宅マンションの部屋の手前の廊下は、ファンの落書きで埋め尽くされていて、
時には勲章のように愛でて、消そうとはしない。

一方で、好きになった女性はストーカーまがいの行為をしてまでものにする熱心さ。
でも、結婚して暫くすると、飽きちゃうのか、構わなくなってくる。
仕事に夢中だったりもする。
そんなこんなで、結婚と離婚の繰り返し。
イメージを守る為、生まれて来た双子の男の子を、何故か一人と偽って、
数年後マスコミにバレるまでは、片方を隠して生活していた。訳分からん。

風呂場で感電して、39歳の若さで命を落としてしまう。
まだまだ人気絶頂期で、泣き叫ぶファンの女性の波が街頭を埋め尽くす。

ラストではエジプト滞在時代の子供に戻って、父親に抱きしめられている。
完璧主義で躾に厳しい父親との葛藤と、エジプトを出てからの貧しい生活が
クロードを作り上げた。
どれだけ成功を収めても、親子関係や子供の頃の体験に縛られるのか。

ポール・アンカの介在があった為、
シナトラへの曲の提供は本人にもよくは知られていない。
たった一度だけ、滞在先のホテルで帰り際のシナトラの姿を見かけるが、
この偉大な歌手を好き過ぎて声もかけられない。後ろ姿をただ見送るだけ。

Wikiで見てびっくりしちゃったんだけど、
クロードは曲を無償でポール・アンカに譲っちゃったんだって。
本人もそこまで売れるとは思ってなかったのか、
今のような著作権制度が整っていなかったからか。
恐ろしい...。
著作権取ってたら、どれだけの印税が入って来た事か。
本人にとっては憧れのシナトラに歌ってもらえる事の方が大事だったかな。

僅かにしか姿を見せないけど、シナトラを
「プリズン・ブレイク」の悪役ティーバッグ、ロバート・ネッパーが演じてる。
ダメじゃないけど、もうちょっと似た顔の俳優はいなかったのかな。

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