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マンガ家Mの日常
途中まで観て繰越にしていた映画の続きを観ようと思ったが、
第2次世界大戦中のユダヤ人避難民の物語で、
その時の感覚でちょっと重かったので、別の映画を観る事にした。
タイトルがロマンチックなイメージで、ミステリーだとの紹介があり、
良さそうだなぁと思って観始めたが、
なんと、こちらもユダヤ人避難民の物語だった。


1939年、第二次世界大戦開戦直前のロンドン。
資産家のギルバートは、貧しいポーランド系ユダヤ人家庭から、
ヴァイオリン演奏に秀でた少年ドヴィドルを預かり、
一流のヴァイオリニストに育つよう、惜しみなく支援した。
ギルバートの息子マーティンと同年代で、次第に兄弟のように仲良くなった。

戦争が激化する中、ドヴィドルの家族はトレブリンカ強制収容所に送られ、
戦後も生死不明となった。

ドヴィドルはレコード録音も果たし、新進気鋭のヴァイオリニストとして、
1951年、ギルバートの主催で大規模なコンサートを開催する事となった。
しかし、コンサート当日ドヴィドルは現れず、そのまま行方不明となった。
ギルバートはドヴィドルが死んだと思い、絶望の淵で2ヶ月後に他界する。

35年後、作曲家としてコンクール審査員を務めたマーティンは、
参加者の少年がドヴィドルと同じ仕草をするのを見て、
ドヴィドルが生きていると確信し、行方を探し当てる。

35年前、ドヴィドルはコンサート前日、バスに乗車中寝過ごし、
見知らぬユダヤ人街に行き着いた。
シナゴーグで、家族全員が亡くなったと知らされ、そのまま7日間の喪に服し、
改めてユダヤ人としての生き方に目覚める。

ドヴィドルは恩返しとして、
かつてギルバートが企画した通りのコンサートでの演奏を承諾する。
最後に自作の鎮魂曲を演奏し、再び姿を消す。


ホロコーストがテーマで、それは人類にとっても重要な事なんだけど、
映画としてはやや退屈だった。
子供時代、青年時代、その後と、
3つの時代が目まぐるしく交錯する形で構成されていて、その手のは疲れる。
エピソードの薄さを、編集で何とかスリリングにして見せようと
としているように感じられる。

原題の「The Song of Names」は、
ユダヤ系ポーランド人が、犠牲者の名前を歌に織り込んで伝承した事を表す。
深い信仰。

ドヴィドルのライバル的なポーランド系ユダヤ人青年もまた、
家族全滅を知らされて、精神が破綻してしまう。
ドヴィドルが何故ヴァイオリニストとしての将来を捨ててしまったのか、
映画鑑賞者の我々には少し伝わり難いが、
全ての人類に、ホロコーストの衝撃を重く受け止める責務がある。

ヴァイオリンの音源は当然吹き替えとしても、
成人したドヴィドル役のクライヴ・オーウェンの演奏シーンは見事。

マーティン役のティム・ロスは相変わらずややオーバーアクト気味。


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