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マンガ家Mの日常
見ようみようと思いつつ、手をつけるのが遅れていたけど、
先日見た「レディ・バード」に出演していたルーカス・ヘッジズが
今作に出演しているというので、
ブログで紹介した手前、チェックしないわけにはいかなくなった。
(いかなくなったって事も無いけど)

ケイシー・アフレック主演のヒューマンドラマ映画。
ルーカス・ヘッジズ主演の青春映画だと思い込んでいたが、違った。


ボストンのアパートで便利屋として働くリーは、無愛想で、孤独で、
時々トラブルを起こしていた。
数年前に鬱血性心不全と診断され、5〜10年と余命宣告されていた兄ジョーが
亡くなったとの知らせを受けて、リーは故郷の街に向かう。
ジョーの一人息子、16歳の高校生パトリックと共に、葬儀の相談をするが、
パトリックは友達や2人のGF、高校のホッケー部やバンド活動等に夢中で、
どこか上の空。

リーが過去を回想する中で、徐々に悲劇が明らかになっていく。

ジョーの元妻エリーズはアルコール依存症で、離婚して、
今では別の男性と婚約中。
パトリックは母親とメールで連絡を取り合っていたが、
まだ精神的に不安定だとして、婚約者は2人が会うのを良く思わない。

ジョーは弟のリーに息子の後見人になる様手配していたが、リーは寝耳に水。
父親の死のプレッシャーでパニック発作を起こすパトリックを支えながらも、
故郷に戻って後見人になり、兄の家でパトリックと暮らすのは気が進まない。
ボストンにパトリックを連れて行く事も検討したが、
パトリックは街に残るよう希望している。

リーはかつて妻ランディと3人の幼い子供達と暮らしていたが、
失火で子供達を失い、絶望の中、自殺を試みようとした過去があった。
ランディはリーを責め、夫婦は破局。
ランディは再婚して、最近子供を授かった。
ジョーの葬儀への参列を希望して、リーと顔を合わせ、当時の言動を詫びる。
ランディは新しい人生を踏み出している。

リーは親友のジョージ夫妻にパトリックの養子縁組を相談し、
資産管理等々、手続きを済ませる。
街で暮らすのは耐えられない、悲劇を乗り越えられないというのが、
リーが自らに出した結論だった。


うっすらと雪を被る、海辺の町の景色が美しい。

正直なところ、話の展開がゆっくりで、度々回想シーンが入るのも面倒で、
冗長でちょっと退屈な感じはした。
ただ、失火で幼い我が子を失くすという悲劇に向き合うには、
じっくりと長い時間がかかるという事でもある。

警察署で失火の状況について、正直に、淡々と語るリーと、
罪には問われないだろうと告げる巡査部長。
哀愁を帯びたアルビノーニのアダージョが被って来て、
やおら、リーが警官の銃を取って自殺しようとし、
警官達が必死で止めるシーンが、今作の肝となっている。

悲劇が大き過ぎて、リーは言葉を失ったように寡黙になる。
ランディや、他の人達のように、まだ言葉にできない。

乗り越えられない悲劇。
乗り越えようと無理をしない事も、また一つの向き合い方なのかもしれない。

でも、故郷の街の人々とのふれあいを通して、
僅かながら前進出来たかもしれない。

主演のケイシー・アフレックとランディ役のミシェル・ウィリアムズが
数々の映画賞にノミネートされ、受賞に輝いたが、
個人的には、ジョー役のカイル・チャンドラーの、
余命を意識しながらも、弟を暖かく包み込む姿が良かった。

ちなみに、
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」というのは、
マサチューセッツ州にある、そのまんま実在の地名なんだって。

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