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マンガ家Mの日常
これも又、ずいぶん前に録画して放っておいた映画。
興味のあるテーマなんだけど、暗そうだったんで、手が付かなかった。

1595年、マドリッド郊外の修道院に赤ん坊が捨てられる。
アンブロシオと名付けられ、やがて信仰深い僧になる。

ある日、火傷を負った顔をマスクで覆った青年が修道院にやって来る。
バレリオと名乗る青年は実は女性で、アンブロシオに近づくのが目的だった。
アンブロシオがムカデに手を刺され、高熱で意識が朦朧となっているところで、
バレリオは看病しながらもアンブロシオの肉体を犯す。
回復したアンブロシオは肉欲に囚われるようになり、
やがてはバレリオの手引きで、美しい信者の娘アントニエを犯し、
その現場を見てしまったアントニエの母親を刺し殺してしまう。
実は、彼女こそ、アンブロシオの実の母親だった。
身分違いの恋で身ごもった最初の子供を手放さざるを得なかったのだった。

アントニエの婚約者にみつかり、アンブロシオは逮捕され、裁判にかけられ、
火あぶりの刑に処される事が決まる。

裁判以降のシーンはアンブロシオの意識下になり、
事件のショックで正気を失ったアントニエを救う為に、
自らの救いと魂を放棄する事を誓って、荒れ野で生き絶える。

コアなキリスト教に関しての作品のようで、
正直、よくわからない部分が多い。
要は、宗教は肉欲にどう対処すべきかって事なんだろうけど。
映画の中で出て来る肉欲の例は、
叔父が幼い姪を犯しているとか、修道女が妊娠しちゃったとか、
アンブロシオのように実の妹を犯しちゃったとか、極端なものばかり。
こういうのを取り上げられてもね、信仰抜きでもいかんだろ。
肉欲を否定する信仰は非人間的って言われても、そっちに頭が向き難い。

バレリオが何でアンブロシオのところに来たのかもよく分からない。
カリスマ的な修道僧のファンで、近づきたかった?
でも、だったら、アントニエのところに手引きするのは変だよね。

要するにバレリオは、キリスト教的な誘惑の悪魔の象徴?
他の様々なエピソードにしても、すべて象徴的要素なのだろう。
ムカデは蛇のイメージとダブるし、バラとか頭痛とか、何か意味付けがありそう。
アンブロシオとバレリオの関係を告発しようとした僧は
何故か深夜に落下してきた石材にぶつかって死んでしまう。
偶然? それともバレリオの仕業? 
それともアンブロシオ無意識でやっちゃった?
告げ口はヤラシイけど、それで天罰が下るってことは無いでしょ。
なんとも分かりにくい。

ジェラルディン・チャップリンが女子修道院長の役で出演していて、
妊娠しちゃった修道女を地下牢に閉じ込めて餓死させちゃう。
ただ破門して追い出しちゃえば良いんじゃない?って思うんだけど、罰し方が残酷。
院長も怖いし、ジェラルディン・チャップリンも怖い。

アンブロシオを演じているのはヴァンサン・カッセル。
アントニエを犯すシーンではオールヌードも披露していて、
鍛えられた身体が逞しくてセクシー。
まぁね、ただの修行僧にしておくにはセクシー過ぎる。
バレリオじゃなくても、そりゃいつかは女絡みのトラブルが起きるよね。

日本人としての感想はこの程度。 イエス様、ごめんなさい。

市街地から少し離れた広野に建っている修道院が美しいです。
こういうとこ、旅行で行ってみたい。

追記/原作についてWikiで見てみたんだけど、
   18世紀の英国のマシュー・グレゴリー・ルイスという作家の作品で、
   見る限り、18〜19歳くらいでこの小説を書き上げてる。
   早熟の天才が多く輩出された時代だった。
   若かったから、勢いで無茶も書けたのかな。
   そして42歳の若さで夭逝。
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