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マンガ家Mの日常
ささやかな人生に幸あれ、そういった趣の映画。

長年の修行の末に高度な技術を習得しながらも、
時代の流れやギリシャの不況で
オーダーメイドの高級紳士服が売れなくなってしまった。
昔馴染みの顧客の型紙を処分する光景が寂しい。

屋台でスーツを売るとか、注文を受けようとする発想も面白いとしても、
普通に考えれば、もっと都会の店とか、
あるいはイタリアや英国のブランド店に就職するとか出来たと思うんだけど、
地元に拘ったのは、高齢の父親の世話と、
代々続いた店に父親がプライドを持っていて、
父親の為にも、店をすぐ閉めるという方向には進み辛かったんだろう。

仕立ての技術もさりながら、
高級紳士服を通して、ニコスが上品な性格に育った感がある。

寡黙なニコスの心情を推し量るのは少し難しい。
生活の為に婦人服を作り始めた時の気持ちはどうだったのだろうか。
ウェディングドレスの注文が続々と入り、
商売が紳士服から遠のいて行く時の気持ちはどうだったのだろうか。
オルガとの短い情事と破局を迎えた時の気持ちは?

成り行きに身を任せているようでもあるし、
逆境の中で活路を見出しているようでもある。

時代の流れに翻弄されつつも、
変わるものと変わらないものがある。


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