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マンガ家Mの日常
マット・デイモン主演のサスペンス映画とあったので、
「ボーン・シリーズ」のようなものを期待したが、
犯罪ものというより、人情ものの側面が大きい。
話のネタの割に2時間19分は結構長くて、やや退屈なんだけど、
実話がベースだという事もあって、
映画に現実味を持たせるには、日常の些細な描写が重要でもあったのだろう。


オクラホマ州の小さな町スティルウォーターで、
石油の掘削作業員として働くビルは、
フランスのマルセイユで刑務所に収監されている娘アリソンに会いに行く。
留学中、同棲していたGFレナを殺害した容疑で、刑務所で5年を過ごし、
まだ4年の刑期が残っている。
粗野で、酒や薬に溺れて暴力沙汰を起こしたようなビルは、
現在、病気の祖母と2人暮らし。
既に妻は他界し、アリソンとは疎遠になっていた。

アリソンはアキームという青年がレナを殺害したと漏らしていたと知り、
弁護士のルパルクに再審を求めるよう、ビルに手紙を託す。
ルパルクは伝聞だけでは再審は無理だとして、探偵を雇うよう勧めるが、
費用が高額で、ビルは自分自身で調査する決意を固める。
旅の途中で知り合ったフランス人女性ヴィルジニーの助けを得て、
アキームの居所を探し出すが、準備不足で逃げられ、
大事なチャンスを失ったとアリソンに責め立てられる。

ビルはマルセイユで工事現場作業員の仕事を見つけ、滞在を延長。
ヴィルジニーと幼い娘マヤと親しくなり、母娘のアパートに同居する。
4ヶ月後、マヤと共に行ったサッカーの試合のスタンドで、アキームを発見。
跡をつけてアキームを拉致し、DNA鑑定の結果が出るまで地下室に監禁する。
アキームは、アリソンからレナ殺害を依頼されたと告白する。
対価の一つとして受け取ったネックレスは、ビルがアリソンに渡した物だった。

アキームの拉致と監禁で、娘のマヤを危険に晒したとして、
怒ったヴィルジニーはビルをアパートから追い出す。
最終的に、殺害現場のDNAが決め手となり、アリソンの無実が証明される。
故郷のスティルウォーターに戻り、ビルがネックレスについて問い質すと、
アリソンは、喧嘩したレナを懲らしめる程度のつもりでアキームに頼んだが、
殺すつもりはなかったと告白。
ビルは複雑な思いを噛みしめる。


家庭を崩壊させた贖罪の思いもあって、娘を必死で救い出そうとする父親像。
気持ちは伝わるが、実話を意識したせいか、
現実的な部分とフィクション的な部分との境目の演出にモヤモヤする。
アメリカ映画のヒーロー像をマット・デイモンに期待してしまうからかな。
かなり頑張って労働者階級の主人公の姿にしているけど、
どうしても知的なイメージが目元に漂う。
もっと地味な俳優だったら、現実味が増したかも。
ビルは無償で助けてくれるヴィルジニーに敬意を払っていたけど、
深い仲になった途端、ローテーブルに足を掛けてソファーに座ったりしてるのが、
何だか父権主義の傲慢さのスタートのような感じがして嫌だったなぁ。

港町マルセイユは、首都パリに比べると、やや粗暴な印象。
フランス南端という位置もあって、移民が多く、
スラム街で独自のコミュニティを形成している。
ビルにとっては、パリよりも馴染みやすかったのではなかろうか。
ネットで他の方の記事を読むと、今作は、
保守的で白人上位主義の男性に対しての問題提起でもあるとか。

アリソンは一応5年間は収監されていたものの、実質、殺人教唆で、罪は重い。
(本人、あまり反省している様子でもないのが、やはりモヤッとする。)
冤罪と証明された実話の人物からは、設定について強い抗議が入っているらしい。

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