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マンガ家Mの日常
タイトルから正統派の法廷モノかと思ったら、
センチメンタルな親子愛モノだった。


シカゴの敏腕弁護士ハンクは強引な弁論で金持ちの被告を無罪にして稼いでいた。
仕事漬けの生活がたたって家庭不和、妻は他に男性を作り、離婚問題に陥っている。

インディアナの小さな田舎町に住む兄から、母が急死したとの連絡があり、
父と不仲で長年疎遠になっていた実家に駆けつける。
父は町で42年間判事を務めた実直でプライドの高い人物で、
子供時代に反抗的だったハンクの躾には特に厳しかった。

葬儀が終わった日の晩、父がひき逃げとみられる事故を起こしたとして、
翌朝警察が来て逮捕される。
ハンクは父の弁護に当たろうとするが、固辞されてしまう。
予備審問で逮捕は取り下げられると思われたが、
父が雇った地元の若い弁護士は経験不足を露呈して、失敗し、裁判に進む。
ハンクは改めて父の弁護士となる。

父は1年程前にガンが発覚して既にステージ4だった。
治療の投薬で体調不良や軽度の記憶障害が時々現れていた。
事故の晩の記憶も無い。

証拠不十分で無罪に持っていける裁判だったが、
父は正義感から、法廷で、犯行の意図があった事を告白してしまった。
20年前、ある青年の暴力行為に対して温情で軽い刑の判決を下したが、
その青年は出所後直ちに16歳のGFを殺害するという凶行に及んだ。
20年経って男が出所し、父の前に現れて暴言を吐いた事がきっかけで、
父は車で男をひき逃げしたのだった。

20年前の温情は、当時反抗的だったハンクに対して、優しくしてやれなかった
後悔の気持ちが重なって、なさしめたものだった。
ハンクはようやく父の本心の愛情に触れる。

父は故殺で4年の実刑となったが、事件の背景と病気から
検事自らが恩赦を求め、数ヶ月で出所した。

出所後、ハンクと父と二人で湖にボートを漕ぎ出し、釣りを楽しむ。
父はそのまま眠るように亡くなる。


ハンク役はロバート・ダウニーjr.、父親役はロバート・デュバル。
デュバルの年老いた演技に実感が溢れている。
しっかりした作りで、長尺ながら飽きさせずに見せてくれる。
「CSI」だったら、前半の15分くらいで決着がつく事件ではあるけど、
身近な事件として、法廷の様子等の説得力は感じられる。
様々なエピソードがふんだんにバランス良く盛り込まれているのも見事。

父と息子の葛藤は、自分自身を振り返ると身につまされるものがあるけれど、
やはり全体的に感傷的過ぎて、却って現実味を損なうように思える。
こんなに綺麗にまとまらないのが人生だから。

事件云々よりも、20年の時を経ての父と息子の和解の物語。

でもね、言っとくけど、
現実では、そういう家族問題は上手くいかなくて、こじれるだけだからね。
和解なんて期待しちゃダメ。


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