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マンガ家Mの日常
完全にネタバレですから、これから見る予定の方は読まないでね。


ゴールデングローブ賞にノミネートされたミステリーTVドラマのミニシリーズ。
主演は顔が濃いアイルランドの名優ジェームズ・ネスビット。

2006年、トニー、エミリー、5歳になる息子のオリヴァーのヒューズ一家3人は
英国から旅行に来て、フランスの田舎町を車で回っていた。
途中エンストしてしまい、修理に2、3日かかる。
やむなくその町に滞在する。
折しもW杯で町中大騒ぎ。

夕方トニーはオリヴァーにせがまれて、
ホテルから少し離れたところにあるプールに二人で行く。
飲み物を買おうとして人混みに入った時、トニーはオリヴァーを見失う。
オリヴァーは忽然と姿を消してしまった。

地元の警察が失踪、誘拐事件として捜査を始めるが、全く進展しない。
トニーとエミリーはそれぞれ精神的にバランスを崩していく。
あくまでも諦めないトニー、
ある時点で前に進む事を考えるエミリー。
トニーの執念が実り新しい証拠が見つかり、8年の時を経て再捜査が始まる。

失踪時の2006年と再捜査する現在2014年が激しく交錯する。
事件の展開をスリリングに見せる為、そういう手法になったんだろうけど、
時間軸が入れ替わる度に状況を整理しなければならないので、
この手の演出は見ていて疲れる。

幼児性愛の前歴がある青年がまず疑われ、
同じく幼児性愛で子供を虐待していた地元の資産家も絡んでくる。
すっごく怪しくて、この二人にかなりの時間を取られるんだけど、
結局何も関係は無かった。
資産家は自分の性癖がバレるのを恐れて、検察官に圧力をかけていた。
実の娘は虐待で死んじゃったんだったのかな?

検察官がイマイチやる気が無い。
資産家からのプレッシャーからかと思いきや、実は、
検察官の実の弟アランが飲酒運転でオリヴァーを跳ねて、死んだと勘違いし、
後始末をユーゴスラビア系のギャングに頼んだら、まだ生きていて、
顔を見られたギャングが独断で殺害してしまったのだった。

アランは末期の大腸ガンで余命いくばくも無い。
それで、罪滅ぼしの気分になってベラベラ告白しちゃう。
関与をバラされた兄は当然警察に追い詰められる。
迷惑な弟の尻拭いをずっとやって来てあげてたのにね。

オリヴァーが失踪した付近の排水溝にアランの禁酒メダルが落ちていたって、
ただそれだけだったんだよね。
それで容疑者だと目星をつけるのは無理があるし、
言い逃れしようと思えばいくらでも出来る筈で、何の証拠にもならない。
散々捜査してきて、大勢死人も出た事件で、たったこれだけの状況証拠で
解決に持って行くのはドラマの展開としては肩すかしだった。

後に市長となった検察官とアルコール依存症の弟との繋がりは
最後になって唐突に知らされる。
トニーも刑事も、ずっと違う方向で犯人を探していた。
ミステリーとして、ミスリードで見せていくのは分かるけど、
ちょっと唐突過ぎる気はする。
他にも、事件に関わる人達の家族模様が描かれるが、
事件と関係無いものが多く、ドラマの方向性がややバラつく印象がある。

息子は殺されたとの証言を得る訳なんだけど、遺体は見つからなくて、
トニーは諦めがつかない。
精神を病んだ状態で、その後もオリヴァーを探し続けていた。

日本人としては、北朝鮮による拉致の問題が思い起こされて、
諦めない、諦めきれないトニーの気持ちが辛いほど伝わってくる。
誘拐って、本当に残酷な犯罪。

トニーとエミリーでやがて温度差が出てくるのは、
オリヴァーが失踪した時、側にいたのがトニーだったから、
より自責の念が強かったとも考えられる。
トニーの行動は常軌を逸しているけれど、
むしろそれこそが親の愛情だと納得出来る。


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