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マンガ家Mの日常
...記事を半分書きかけたところで、メールが色々入って来て、
そっちに対応していたら、うっかりブログから移動しちゃって、
書いてたのが全部消えてしまった。 がっくり。

仕方無いので、書き直し。


注目の若手映画監督兼俳優、グザヴィエ・ドラン出演作品。
カナダだし、監督作品はどうも癖が強そうなので、
メジャーっぽい作品から見てみようと思ったのだけど、
舞台劇を映画化した心理劇で、文芸ものっぽかった。
サスペンスを期待してたんだけど、違った。


精神病院の医師、ローレンスが失踪。
院長は直前にローレンス医師と一緒にいた患者のマイケルに話を聞くが、
知的でトリッキーな話しぶりに翻弄されるばかり。

マイケルの母親は高名なオペラ歌手だったが、
行きずりの恋での望まぬ妊娠だったので、マイケルに愛情が注がれる事は無かった。
マイケルは8歳の時、父が暮らすアフリカに行って、一度だけ父と会ったが、
象が射殺される様子に激しいショックを受け、精神的な衰弱が始まった。
その後、母親は睡眠薬の過剰摂取で死亡。

院長のグリーンは、幼い娘を事故で亡くし、妻と離婚。
妻は同じ精神病院で、看護師長として働いている。
グリーンの自宅は妹のオリヴィアが管理しているが、兄妹仲は良くは無く、
オリヴィアの娘であるダウン症の姪にも負担を感じていた。

マイケルはローレンス医師との性的関係性をほのめかす。
グリーン院長はこれまでマイケルと接した事が無かったので、
果たしてどこまで真実なのか、測りかねる。
マイケルはローレンス医師が失踪直前に残したメモ書きを隠し持っていて、
それを手渡す代わりに、チョコレートを要求する。

ローレンス医師は失踪したのでは無く、
急な脳卒中で倒れた姉を見舞いに他の病院に行っていたのだった。
メモにはその事が記されていたが、
マイケルが隠した為、職員の誰も知らずにいた。

全ては、マイケルがチョコレートを手に入れる為の策略だった。
母を亡くし、精神病院に閉じ込められて過ごすのが苦痛で、
チョコレートの中のナッツによるアレルギーで自殺を図った。
グリーン院長はマイケルのアレルギーを知らなかった為、利用されたのだった。

マイケルは自らを厄介者の「白い象」になぞらえ、死を選択した。


おそらく、舞台劇として高い完成度があるので、脚本はとても良く出来ていた。

ただ、舞台劇の映画化って、狭い空間でずっと喋ってるばかりだから、
映画としてはあまり面白くはないんだよね。
まぁ、これはこれ、って感じかな。

心理劇の面白さは、緻密な脚本にある。巧妙に隠されたトリックが全て。
自殺したいなら、最初から分かり易くチョコレートを要求すれば良い筈なんだけど、
そしたら、何も分からないまま、話は5分で終わっちゃうね。

母親に愛情を与えられる事無く、孤独に育った少年の悲劇。
加えて、マイケルは頭が良過ぎたから、周囲にいたであろう人達とも
上手くコミュニケーションが取れなかったんだろうね。
唯一つながりを持てたのはローレンス医師だったのだけど、
ローレンス医師はマイケルに個人的な愛情を感じながらも、
医師としての真っ当な倫理観から、それ以上の行為を与える事はしなかった為、
マイケルは一層絶望していく。

死ななくても、
自分からもっと人と関わりを持つよう心掛ければ良いんじゃないかな、と思う。
ただ、親が自殺してると、見捨てられた不安から、
子供も自殺に走る傾向があるんだって。

映画としては、グリーン院長が元妻とよりを戻す場面で締めくくる事で、
悲壮感を和らげていた。
そうでもしないとやりきれないよね。

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