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マンガ家Mの日常
音楽の歴史にその名を刻む、キング・オブ・ロックンロール、
エルヴィス・プレスリーの伝記映画。
今作では、エルヴィスのマネージャー、パーカー大佐の目線から
描かれた部分が多い。


貧しい黒人居住区域で育ったエルヴィスは、ゴスペルを聴いて、
黒人音楽の感性を身に付けた。
高校卒業後、トラック運転手として働きながら、レコーディングをして、
デビューのチャンスを掴む。
公民権法成立前のアメリカでは人種差別が色濃く、
黒人と白人の感性を融合させたエルヴィスの音楽スタイルは
時に批判の的とされたが、
若者を中心に爆発的ヒットを遂げ、成功の階段を駆け上がる。
この頃契約したパーカー大佐が、
エルヴィスの生涯を渡ってのマネージャーを務める。

パーカー大佐は辣腕ぶりを発揮して、エルヴィスと共に大金を稼ぐが、
次第に関係は破綻して行く。
ギャンブル癖のパーカー大佐と、浪費家のエルヴィス。
パーカー大佐は収益の為に、エルヴィスに過酷なツアーを課すようになると、
疲弊したエルヴィスは薬物に依存し始める。
また、オランダからの密入国の過去があるパーカー大佐は、
海外に出国すると逮捕される危険性があり、その為、
エルヴィスが切望した世界ツアーは叶わなかった。
ラスベガスのショーは大好評が続いたが、やがて人気は陰る。
数年間の不調の後、見事カムバック。
しかし、長年の薬物依存と過食症で体調を崩し、僅か42歳で生涯を閉じる。


個人的には、世代が違うので、プレスリーに対する思い入れは弱かった。
太った姿と、固定化された衣装で、おじさんくさいイメージ。
同時代に生きていたら、全く違う目線で見つめていただろう。
ロックンロールの創始者の1人としての偉大さと、
セクシーながら、どこと無く寂しげな風貌。

バズ・ラーマン監督による今作は、
とにかく前半から情報量の詰め込みで、見ていてちょっと疲れる。
おもちゃ箱をひっくり返したかのようなキラキラ感。
トム・ハンクスが太った特殊メイクをして演じたパーカー大佐が、
カリカチュアライズされた人物像として現れているように見える。
パーカー大佐の役はトム・ハンクスである必要はないように思えるが、
映画の格付けの為に、ビッグネームの出演が求められたのだろうか。

映画では、パーカー大佐が私欲の為にプレスリーを操った側面に
焦点を当てられているけれど、
Wiki等を読むと、
当時の音楽業界の中で、新人歌手を成功に導いた手腕は評価される。
パーカー大佐でなかったら、
プレスリーは2、3年で終わっていたかもしれない。
契約金等々の問題に関しては、プレスリーに限らない。
ロックがここまで世界的なビジネスになるとは思われていない時代で、
様々な契約の形態が未発達だった。
もっと良いビジネスの時代に生まれていたら、もっと長生きして、
どれほどのスーパースター、どれほどの大富豪になっただろう。
逆に、あの時代だからこそのスターだったのか。

子供心に「おじさんくさい」と見ていたプレスリーは、
死亡時、僅か42歳という若さ。
苦しみを抱えてステージをこなす姿に、色々切なくなる。
歴史的大スターは、...幸せだったのだろうか?

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