エミー賞作品賞受賞のミニシリーズドラマ。
同じタイトルで別の映画があるみたいなのね。
そちらは見ていない。実話を元にした虐待事件の映画らしい。
あと「アメリカン・クライム・ストーリー」というのもあって、
それはかの有名なO・J・シンプソン事件を描いたもの。
紛らわしいね。
マットとグウェンの美男美女カップルが自宅で何者かに襲われ、
マットは射殺され、グウェンは一命はとりとめたものの、昏睡状態で入院。
知らせを受けた家族がモデストの街に集まった。
マットの父親ラスはギャンブル依存症で離婚。
母親バーブは女手一つで二人の息子を育て上げた。
犯人と思われる黒人青年カーターが逮捕された。
加担したと思われたメキシコ人の不法移民青年ヘクターや、
移民家族の息子トニーも拘留された。
カーターの犯行とされたのは、
司法取引を目論むヘクターの嘘の証言によるものだった。
正確な証拠が出揃わず、
カーターの姉アリーヤは、自身が入信しているイスラム教団体をバックに、
差別での不当逮捕を世間に訴える。
一方のマットの母親バーブも、白人に対する憎悪犯罪だと声を上げる。
車を貸しただけのトニーは鑑別所に入れられて荒れかけていたが、
父親と姉、叔父夫婦のサポートに救われる。
美しいカップルと見られていたマットとグウェンだったが、
捜査が進む中で実態が明らかにされていく。
元軍人のマットは粗暴な男で、
任地で捕虜に虐待行為をしたり、グウェンを殴ったりしていた上に、
ドラッグを売りさばいていた。
グウェンもまた問題を抱えており、複数の男性と淫らな性関係を持つなどしていた。
双方の両親は二人を庇い続けるが、悲しみや憎しみに疲弊していく。
このまま裁判が進行すればカーターは終身刑になる。
カーターの恋人オーブリーが犯行を自白する。
ドラッグを買いに行ったカーターがマットに侮辱されたのを聞いて、
腹を立てての衝動的犯行だった。
白人女性でドラッグ依存症のオーブリーは、
精神的に不安定な自分ならば15年くらいで出所出来て、
その後カーターと一緒に暮らせるようになると考えた。
しかしカーターはオーブリーの養母から説得され、
オーブリーの為に身を引く事を決意していた。
カーターは無事釈放されるが、憎しみの行き場を失ったラスに射殺される。
絶望したオーブリーは収監されている病院で自殺する。
ラスは銃で自殺する。
メキシコに送還されたヘクターは以前の殺人罪で終身刑になる筈だったが、
裁判の直前で証人が姿を消し、立件不可で棄却され、無罪放免となった。
幼い娘と妻との過程を守るべく、心を入れ替えて真面目に就職する。
現代アメリカの社会問題を全て詰め込んだ作品。
人種問題、移民問題、戦争犯罪、貧困、養子、ドラッグやギャンブルの依存症、等々。
ハリウッド映画のような特別なヒーローが存在する訳でも無く、
庶民の立場ではただもがくばかり。
憎悪は一時的には人を強くするが、やがて疲弊と身の破滅を招く。
最終的には、憎しみの連鎖を断ち切ろうという思いに救いが見出される。
ギャンブル依存症から立ち直った筈のラスだったけれど、
壊れた家族をやり直す事は出来ず、前科を隠していた事がバレて仕事をクビになり、
孤独で行き場の無い思いを最後にカーターに向けてしまうのが何とも痛々しい。
頑なだったバーブは人種間闘争の悲惨さを知り、身を引く決意を固める。
次男夫婦とも折り合いは良くなかったが、歩み寄りを得る。
夫はギャンブル依存症で金欲しさに泥棒を働いた前科があって、離婚。
貧困と戦いながら息子二人を立派に育て上げたのに、長男には先立たれ、
次男は、有色人種に偏見のあるバーブを嫌って、アジア系の妻と共にドイツに移住。
バーブの偏見は、有色人種が多く住む貧困地域での暮らしに起因するらしい。
歩み寄ろうとした夫のラスを受け入れれば良かったのかもしれないけど、
長年の苦労がそうはさせない。
バーブが孤独に陥る瞬間は気の毒だった。
次男の妻は知的で良く出来た女性で、バーブに打ち解ける姿勢は見せるものの、
プアホワイトのバーブをどこか見下してる感じが臭うんだよね。
事件を迷走させたチンピラのヘクターは結構な厄介者だったんだけど、
ドラマのラストでいきなり無罪放免になっちゃって、
無事堅気の仕事に就いて、妻子と共に幸せに暮らす。
何だかなぁ、と思いつつ、
でも、それはそれで一つの希望の光として良かった事なのかな。
社会問題を描く事が中心のドラマなので、事件の捜査はあまり進まない。
終盤まで真犯人がなかなか分からない。
このまま終わるのかな、と思っちゃった。
完全なジャンキーのオーブリーはどうしようもないけど、
そうなってしまったのは9歳まで過ごした施設で虐待されていたり、
養父母に引き取られてからは兄となった少年と友達に性的虐待を受けたりして、
心に深い傷を負った事に原因があった。
性的虐待に関しては、事実なのかオーブリーの嘘なのか明確にされないけど、
告白の場から逃げ出した兄の様子からして、事実なんだろうと思われる。
養父母は退屈なタイプだけど、オーブリーを大事にしていて、良い人達だったのに。
ラスト、
白人、イスラム、ヒスパニック、それぞれの教会で司祭が赦しの精神を唱える。
こういうシーン、アメリカ的なんだなぁ。
アリーヤが頼るイスラム教団体や、
バーブを支える重犯罪で子供を失った親を支援する団体の存在感が大きくて、
支えになりつつも、闘争を助長している面もあるようにも見える。
他にも様々な思想で集まった活動団体が沢山あるのね。
日本だと、宗教活動もそれほど熱心ではないし、
人種問題に関しては、波風立てないよう口をつぐむ傾向にある。
その方が平和ではあるけど。
ラス役のティモシー・ハットンは真面目な雰囲気が抜け切れていないような。
でも、どうなんだろう、こういう根が真面目なタイプが身を持ち崩してしまうのが
ギャンブル依存症の恐ろしいところなのかも。
バーブ役のフェリシティ・ハフマンは美人過ぎない感じがリアルで良かったかな。
アリーヤ役のレジーナ・キングが今作でエミー賞助演女優賞を受賞。
宗教に傾倒して、いっちゃってる目がある種の怖さを孕んでもいたもんね。
ドラマとして面白かったかと問われると答え辛い面もあるけれど、
一筋縄では行かないストーリーでした。
同じタイトルで別の映画があるみたいなのね。
そちらは見ていない。実話を元にした虐待事件の映画らしい。
あと「アメリカン・クライム・ストーリー」というのもあって、
それはかの有名なO・J・シンプソン事件を描いたもの。
紛らわしいね。
マットとグウェンの美男美女カップルが自宅で何者かに襲われ、
マットは射殺され、グウェンは一命はとりとめたものの、昏睡状態で入院。
知らせを受けた家族がモデストの街に集まった。
マットの父親ラスはギャンブル依存症で離婚。
母親バーブは女手一つで二人の息子を育て上げた。
犯人と思われる黒人青年カーターが逮捕された。
加担したと思われたメキシコ人の不法移民青年ヘクターや、
移民家族の息子トニーも拘留された。
カーターの犯行とされたのは、
司法取引を目論むヘクターの嘘の証言によるものだった。
正確な証拠が出揃わず、
カーターの姉アリーヤは、自身が入信しているイスラム教団体をバックに、
差別での不当逮捕を世間に訴える。
一方のマットの母親バーブも、白人に対する憎悪犯罪だと声を上げる。
車を貸しただけのトニーは鑑別所に入れられて荒れかけていたが、
父親と姉、叔父夫婦のサポートに救われる。
美しいカップルと見られていたマットとグウェンだったが、
捜査が進む中で実態が明らかにされていく。
元軍人のマットは粗暴な男で、
任地で捕虜に虐待行為をしたり、グウェンを殴ったりしていた上に、
ドラッグを売りさばいていた。
グウェンもまた問題を抱えており、複数の男性と淫らな性関係を持つなどしていた。
双方の両親は二人を庇い続けるが、悲しみや憎しみに疲弊していく。
このまま裁判が進行すればカーターは終身刑になる。
カーターの恋人オーブリーが犯行を自白する。
ドラッグを買いに行ったカーターがマットに侮辱されたのを聞いて、
腹を立てての衝動的犯行だった。
白人女性でドラッグ依存症のオーブリーは、
精神的に不安定な自分ならば15年くらいで出所出来て、
その後カーターと一緒に暮らせるようになると考えた。
しかしカーターはオーブリーの養母から説得され、
オーブリーの為に身を引く事を決意していた。
カーターは無事釈放されるが、憎しみの行き場を失ったラスに射殺される。
絶望したオーブリーは収監されている病院で自殺する。
ラスは銃で自殺する。
メキシコに送還されたヘクターは以前の殺人罪で終身刑になる筈だったが、
裁判の直前で証人が姿を消し、立件不可で棄却され、無罪放免となった。
幼い娘と妻との過程を守るべく、心を入れ替えて真面目に就職する。
現代アメリカの社会問題を全て詰め込んだ作品。
人種問題、移民問題、戦争犯罪、貧困、養子、ドラッグやギャンブルの依存症、等々。
ハリウッド映画のような特別なヒーローが存在する訳でも無く、
庶民の立場ではただもがくばかり。
憎悪は一時的には人を強くするが、やがて疲弊と身の破滅を招く。
最終的には、憎しみの連鎖を断ち切ろうという思いに救いが見出される。
ギャンブル依存症から立ち直った筈のラスだったけれど、
壊れた家族をやり直す事は出来ず、前科を隠していた事がバレて仕事をクビになり、
孤独で行き場の無い思いを最後にカーターに向けてしまうのが何とも痛々しい。
頑なだったバーブは人種間闘争の悲惨さを知り、身を引く決意を固める。
次男夫婦とも折り合いは良くなかったが、歩み寄りを得る。
夫はギャンブル依存症で金欲しさに泥棒を働いた前科があって、離婚。
貧困と戦いながら息子二人を立派に育て上げたのに、長男には先立たれ、
次男は、有色人種に偏見のあるバーブを嫌って、アジア系の妻と共にドイツに移住。
バーブの偏見は、有色人種が多く住む貧困地域での暮らしに起因するらしい。
歩み寄ろうとした夫のラスを受け入れれば良かったのかもしれないけど、
長年の苦労がそうはさせない。
バーブが孤独に陥る瞬間は気の毒だった。
次男の妻は知的で良く出来た女性で、バーブに打ち解ける姿勢は見せるものの、
プアホワイトのバーブをどこか見下してる感じが臭うんだよね。
事件を迷走させたチンピラのヘクターは結構な厄介者だったんだけど、
ドラマのラストでいきなり無罪放免になっちゃって、
無事堅気の仕事に就いて、妻子と共に幸せに暮らす。
何だかなぁ、と思いつつ、
でも、それはそれで一つの希望の光として良かった事なのかな。
社会問題を描く事が中心のドラマなので、事件の捜査はあまり進まない。
終盤まで真犯人がなかなか分からない。
このまま終わるのかな、と思っちゃった。
完全なジャンキーのオーブリーはどうしようもないけど、
そうなってしまったのは9歳まで過ごした施設で虐待されていたり、
養父母に引き取られてからは兄となった少年と友達に性的虐待を受けたりして、
心に深い傷を負った事に原因があった。
性的虐待に関しては、事実なのかオーブリーの嘘なのか明確にされないけど、
告白の場から逃げ出した兄の様子からして、事実なんだろうと思われる。
養父母は退屈なタイプだけど、オーブリーを大事にしていて、良い人達だったのに。
ラスト、
白人、イスラム、ヒスパニック、それぞれの教会で司祭が赦しの精神を唱える。
こういうシーン、アメリカ的なんだなぁ。
アリーヤが頼るイスラム教団体や、
バーブを支える重犯罪で子供を失った親を支援する団体の存在感が大きくて、
支えになりつつも、闘争を助長している面もあるようにも見える。
他にも様々な思想で集まった活動団体が沢山あるのね。
日本だと、宗教活動もそれほど熱心ではないし、
人種問題に関しては、波風立てないよう口をつぐむ傾向にある。
その方が平和ではあるけど。
ラス役のティモシー・ハットンは真面目な雰囲気が抜け切れていないような。
でも、どうなんだろう、こういう根が真面目なタイプが身を持ち崩してしまうのが
ギャンブル依存症の恐ろしいところなのかも。
バーブ役のフェリシティ・ハフマンは美人過ぎない感じがリアルで良かったかな。
アリーヤ役のレジーナ・キングが今作でエミー賞助演女優賞を受賞。
宗教に傾倒して、いっちゃってる目がある種の怖さを孕んでもいたもんね。
ドラマとして面白かったかと問われると答え辛い面もあるけれど、
一筋縄では行かないストーリーでした。
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