久しぶりに見る、軽いタッチのラブコメディ映画。

気楽にみられる分、専門家からは軽視される。
軽視されると、製作者側も作品を作り難くなり、そうした作品の数が減る。
人生の重大事をテーマにした映画は重要だけど、
陰鬱な作品ばかりを立て続けに見させられるのは辛い。
前向きなコメディの価値がもっと認められても良い。


レネーはファッションに関心が高く、化粧品会社ルクレアに勤めていたが、
ポッチャリ体型に強いコンプレックスがあり、何事にも消極的になっていた。

ダイエットの為に参加したスピニングで転倒し、頭を強打。
気がつくと、何故か、自分がスタイル抜群の美女と認識するようになっていた。
見た目が変わっている筈も無く、
レネーの自信満々な態度に周囲は困惑する。

理想の自分を手に入れたと錯覚したレネーは、全てにポジティブになり、
元々好きだったファッションにも磨きをかける。
薄暗い地下室の仕事場を抜け出すべく、
マンハッタンにある本社の受付嬢の仕事に応募し、見事合格。
クリーニング店で順番待ちの番号を尋ねた男性イーサンに、
電話番号を求められたと思い込み、強引に番号交換し、デートの催促をする。
戸惑うイーサンだったが、
レネーの突き抜けた明るさと積極性に、次第に魅力を感じるようになる。

ルクレアでは、やや低額なセカンドラインの商品の売り出しを企画中。
会議室に飲み物を運んだレネーは意見を求められる。
まさしくセカンドラインの購買層であるレネーは、的確な提案をし、
若い女性社長エイヴリーに認められ、次々重要な仕事を任せられるようになる。

憧れの仕事で成功の道を進み、
エイヴリーの兄、超イケメンのグラントからも熱い視線を送られ、
人生は絶好調に思われたが、
次第に傲慢さも現れ、イケてない親友達に酷い態度を取るようになる。
親友達から嫌われ、グラントと浮気しそうになった自分に失望する。
そんな時、ホテルのバスルームで頭を強打すると、
魔法が冷めたかのように、自分が元通りのサエないデブに見えるようになる。

イーサンにデートに誘われても、まともに会いに行けない。
しかし、イーサンは、レネーの本当の魅力に好意を抱いたのだと告げる。
レネーはイーサンと恋人同士になり、親友達にも謝罪して和解する。
セカンドラインの発表会でも、自分自身を表現して成功を収める。


まず、レネーを演じたエイミー・シューマーは、
ややポッチャリではあるものの、
アメリカの基準からすると、それほど太ってはいない。
マンハッタンのイケてる美女やモデルと比較するのは無理がある。

アメリカでは、プラスサイズのモデルも広く認められるようになり、
個人の体型を肯定する意識が高まって来ている。
そうした状況を考えると、ポッチャリおデブをコンプレックスとする主人公や、
おデブを揶揄する人達のエピソードは、いささか時代遅れではあるけれど、
現実はまだまだそんなところにとどまっているだろうとも思う。

問題点は色々あるにしても、
ポジティブに行動し、人と接する事で、人生が開かれていくという
作品のテーマは、好意を持って受け止められる。

何にせよ、映画を明るく楽しい気分で見られるのが良い。

レネーとイーサンの恋愛も、さり気なさが良い。