イタリアで大ヒットしたヒューマンタッチの映画。
原題は「危険人物」とかいう感じらしくって、邦題とは全く別。
この邦題、雰囲気はあるけど、意味不明な感じだね。
主人公一家がパスタ工場を経営してる事にちなんだものだろうけど、
イタリアっぽさを出したかったのかな。

トスカーナ地方の都市レッチェでパスタ工場を運営するカントーネ家。
２男１女が経営を引き継ぎ、万事順調と思われていたが、
次男トンマーゾはローマの大学で経済を勉強している筈が、実は作家志望で、
ゲイの恋人と暮らしていた。
トンマーゾは家族の集まりで告白するつもりだったが、口を開こうとした矢先、
長男のアントニオもまたゲイである事を告白して大騒ぎになり、
父親が心臓発作で倒れてしまった為、ズルズルと告白し損なう。

トンマーゾは、父親が復帰するまで、というつもりで工場経営に携わる。
マッチョな気質の父親はトンマーゾがゲイだと全く気づかず、
協同経営者の娘アルバを近づけさせ、二人の結婚を願う。
アルバはトンマーゾがゲイだとは知っていながらも
一緒に仕事するうちに惹かれていってしまうが、所詮は叶わぬ恋だった。

祖母は家族の様子を気遣いつつも、
好きな相手と結婚出来ずに後悔し続けた人生を振り返り、
トンマーゾに、自分の思うような人生を歩むようアドバイスする。
祖母は糖尿病を患っていたが、最期を覚悟して、お洒落して、
思う存分好きなチョコレートやケーキを頬張り自殺？する。

祖母に死に向き合い、父親は息子達の実情を受け入れる。


イタリアはカトリックの国だから、ゲイに関してはまだ見方が厳しいのかな。
邦題のリズム感からすると、もっと明るいコメディだと思ったんだけど、
雰囲気はややシリアスめだった。
ゲイの家族とどう向き合うか、
これはフィクションとしても、もう笑い話になる時期は通り過ぎた。

姉は経営の才覚はありながらも、女性だからか、工場で決定権を与えられておらず、
従業員からも低く見られていたりして、イタリア社会の遅れを感じさせる。

長男のアントニオが経営に戻るとして、一家の後継者問題はどうするのかとか、
解決が示されていない問題がいくつか残っている。
アルバにしても、出戻り独身のエキセントリックな叔母にしても、
ややほったらかしの状態のまま映画が終了してしまった感がある。


現実は、上手く収まる事の無いまま、なんとなく妥協しつつ
時に身をまかせるようなものだけど、映画は映画なので、
やっぱりもうちょっと全体的に安心出来る収まりを作ってくれた方が良かったな。