ネタバレします!!!
ネタバレ、ごめんなさい。
小説を読む予定の方はこんなブログ見ないで!!!
映画にしても小説にしても、
自分自身の感想文として書いているので、結末に触れない訳にはいかないのです。
「その女 アレックス」で一躍ミステリー小説のスターダムに躍り出た
ピエール・ルメートルのノンシリーズ作品。
若く美しいソフィーの周辺で猟奇的な殺人事件が次々起こる。
しばしば意識の混濁や物忘れに悩まされていたソフィーは、
自分が意識不明の状態でやった事なのかと悩み、徐々に精神を病んでいくが...。
殺人事件、事故死、それらは、復讐を目論むフランツの仕掛けだった。
全体が4部構成になっていて、
1部を読み進める時点である程度の見当はつくんだけど、
2部のフランツの日記形式で書かれたものが、
並外れた知性と病んだ精神が交差して、何ともジワジワ来る。
「ゴーン・ガール」に似てるかも?
構成の巧みさは「アレックス」で広く知られるところ。
加えて、翻訳ではあるけど、文章の運び方が上手い!
読者の関心を途切れさせない。
これ程高い質を維持して作品を発表し続けるのは至難の技。
で、ネタバレなんだけど。
ソフィーにセクハラを強要した店長が殺されるシーンだけ、ちょっと様相が異なり、
おや?と思っていたら、
後半であっさり、ソフィー自身が殺害したとの一文が入る。
あ、やっぱり?
にしても、そんなあっさりスルーする?
このソフィーも散々な目に遭わされて来たけど、根が只者では無かった感じ。
父親がソフィーの為に復讐の手助けをしてフランツをハメるんだけど、
トリックとしては途中で気付くとしても、何か精神的に澱んでいて、うすら寒い。
ソフィーは、フランツが自分に仕掛けた罠の証拠を全て燃やしてしまう。
何故か?
店長殺害を隠蔽する為と、現状に満足しているから?
正体を偽ってフランツと結婚して、結果手に入れた莫大な財産を
この先も上手い事自分のものにしていかなきゃならん。
行きずりの人が無残に死のうと知ったこっちゃない。
姑や仕事先のうるさいガキはいなくなってせいせいした?
夫は合格点だったけど、ソフィーは父親との間に強烈な結びつきがあって、
夫への執着は薄いのかも?
どんでん返しの巧みさではジェフリー・ディーヴァーが凄いのだけど、
ディーヴァーは善悪をはっきりさせていて、すっきりと読み終わる。
でも、ルメートルのヒロインは闇を抱えてるのね。
どんでん返しが回りきれていなくて、着地がグラグラする。
こういう、ちょっとした引っかかりみたいなものを残しておくから、
誰かと話したくなって、口コミが広がるのかな。
そしてどこまでも売れて行く...。
そう考えると、ルメートルの手腕は更に凄い!