買い出しに行く道すがら、
石鹸のような沈丁花の香りを嗅いだせいだろうか。
初春の記憶に誘われて、不意によもぎアンパンが食べたくなった。
花より団子か。
沈丁花とよもぎの共通項は、薬的な匂いかな。

近所の人気のベーカリーを覗くと、
陳列棚の殆どのパンがビニール袋に入れられていた。
コロナウイルス予防。
でも、焼きたてパンはホカホカで湯気が立つので、
ビニール袋に入れられると、蒸気で蒸されてベタベタになってしまう。
焼き上がりから少し待って包むのかな。
でもそれでは、いずれにしろ美味しさが損なわれる。

よもぎアンパンは無かった。
季節にはまだ少し早いのかな。

以前の大型スーパーでは、メーカー品だけど、よもぎアンパンがよく売られていたのに、
それすらにもお目にかかれなくなって久しい。
食のささやかな楽しみが奪われていく。
戦時下でもないのに、なんて事だろうね。

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