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マンガ家Mの日常
「ミレニアム」シリーズ第5作。
グズグズと中断してばかりで、やっと読み終えました。

ミステリーの歴史に残る作品を引き継いで書くのは、
並大抵のプレッシャーではなかっただろうと、容易に推察される。
正直言えば、ラーソンによる第1作があまりにも衝撃的だった為、
どうしても、比べると緩く感じてしまう。
リスベットやミカエルといったキャラクターに対しても、扱いに遠慮があるような。

第4、5作共に、事件は完結したものの、
何かの伏線的な感触のような、終わり切れてない感が残っていて、
読後のカタルシスに到達しない。
ラーゲルクランツが今後どこまで作品に携わっていくかは分からないけれど、
4作目よりは5作目の方が主要キャラクターの内面に踏み込めたようなので、
先々の展開への期待はある。

巻末の解説で霜月蒼氏が、
ラーソンやフランスのルメートルが
ヒロインをやたらと痛めつける理由について触れていた。
日本に比べて欧州では女性の社会的地位が高いとされているけれど、
個々の家庭といった閉ざされた空間では、むしろ暴力がはびこっていて、
DVで命を落とす女性も多いとか。
そうした問題への告発と挑戦をラーゲルクランツも背負って、
第5作には色濃く表されている。
ラーソンやルメートルの作品に強く惹かれたのは、そこだったのかと、改めて実感。

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