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マンガ家Mの日常
話を整理して行きます。

一般的に、マンガ家や小説家は作品を書いて、
出版社にその印刷、販売の権利(一定期間)を売り、
その対価として原稿料を受け取ります。
それが作家の収入源な訳です。

その原稿料で生活費が賄えれば良いのですが、
作家は原稿料から、人件費、研究費、資料代、事務所家賃等々、
様々な経費を支払わなければなりません。
そこが会社員と大きく異なる所で、
出版社の編集さんは会社員で、仕事に必要な経費は会社持ちなので、
マンガ家の収支について分かろうとしない人が多いのです。

原稿料だけでは生きて行けません。

マンガ家の場合、まず雑誌に原稿が掲載され、
その時点で支払われる原稿料は、経費(主にアシスタント代)でほぼ消えます。
マイナスになる可能性すらあります。
何でそんなに経費がかかるのかって言われれば、
それは現状に即したレベルのマンガの画面を仕上げる為です。
昭和30年代のシンプルな絵と違って、今のマンガは格段に絵が緻密になっていて
手間がもの凄くかかるのです。

週刊誌、月刊誌等で相応の分量の原稿を仕上げる為には
それに応じた数のアシスタントが必要です。

マンガ家の方でもアシスタント代を押さえる様々な工夫をしているようですが、
それにも限界はあるし、トラブルも生まれてしまいます。
アシスタントさん達だって、それなりの待遇とお給料が無ければ生活出来ず、
廃業するしかなくなり、
アシスタントの数が減って、マンガ家の仕事が回らなくなる。
マンガ家は仕事の為に、アシスタントさん達の生活も支えなければなりません。

この段階ではマンガ家は生きて行けません。
なので、雑誌掲載止まりのマンガ家は消えていなくなります。
雑誌で人気を取って、コミックスになって、その印税が入って来て
初めて生活が成り立ち、潤い始めるのです。
そうやって、人気、実力があるマンガ家だけが生き残り、
日本のマンガのレベルを向上させるシステムが形成されて来たのです。

私のように規模の小さい仕事をしているマンガ家は(人それぞれでしょうが)
背景等、アシスタントに頼める部分も大半は自分で描いて、
経費を押さえる事で何とか生き残って来ました。
なので、年間の仕事量は増やせません。
ハーレクインの編集さんから、年間3作描いて欲しいと言われていましたが、
それでは経費を賄えないので、1〜2作に押さえるしかありませんでした。
原稿料がもう少しアップされるのであれば描けなくは無い、と言う話もしましたが
当然ながらスルーされておしまいです。

コミックス印税はマンガ家にとっての生命線です。
副業的に時たま描く程度のセミプロ(セミプロとさえ言えない。)ならまだしも、
プロとしてきちんと仕事をして行く人にとっては尚の事です。

それが、ハーレクインのシステムでは整ってないのです。

(続く。)

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