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マンガ家Mの日常
頂き物のお線香を何とか毎日忘れずに焚いている。
お線香の香りは悪くない。
でも、微かな煙の残りが、鼻をくすぐり、ちょっと花粉症っぽく感じる。

学生時代、萩尾望都先生の影響で、海外の翻訳物のSF小説をよく読んでいた。
松本零士先生のイラストとかにも憧れた。
ブラッドベリとかハインラインといった大御所の作品で、
「鼻腔をくすぐる」という表現が多用されていたような記憶がある。
日本の小説ではあまり見かけない表現。
「鼻腔」という字面はあまり綺麗ではないけれど、翻訳物の特徴かな。

仕事でミステリー物を手がける事が多くて、
手に取る小説もミステリーが増えて、SFから遠ざかってしまった。
書店で見かけると、懐かしくて、読みたいなぁと思うけど、なかなか時間が無い。

随分前になるけれど、
マンガの仕事が途切れた時期に、挿絵の仕事を少しやらせてもらった。
老舗の早川書房「SFマガジン」からお仕事をいただけて、
特に、人気作家ジェイムズ・ティプトリーJ r.の作品を
担当させていただけたのは嬉しかった。
ティプトリーは以前にも女性マンガ家がイラストを手がけた事があって、
作品の傾向から、女性のマンガ家の絵が合うと判断されたのかな。

勿論、結構頑張った。

でも、単価がマンガ原稿の半分くらいなので、苦しかった。
文庫で、マンガ家が手がけたイラストが、
ページが進むにつれて挿絵があっさりしてくるのをよく見ていたが、
やはり、ページ単価の問題があって、密度の濃い仕事が難しくなったのだろう。

挿絵は挿絵で、いかに効率よく枚数をこなすか、それもプロの仕事なのだな。

雑誌の挿絵が認められて、文庫の表紙も任せていただけた。

勿論、結構頑張った。

ところが、1作目は良い出来栄えだと自負出来るのだけど、
2作目のお仕事をいただいた時、締め切りまでの日程が少し厳しくて、
焦ってしまったのと、
当時、プライベートで問題を抱えて、やや集中を欠いてしまい、
納得いく絵が描けなかった。
編集長さんもやや失望されたようだった。
コンスタントにアベレージを出せなければ、プロとしての信頼を損ねる。
本当に申し訳ない。
出来る事なら描き直したい。

その後、早川書房からは別のシリーズの挿絵の仕事をいただいたが、
マンガの仕事も徐々に入り始めていた事もあって、長くは続かなかった。

返す返すも、文庫の失態は大きかったが、
他では、それなりに良い仕事をしたとは思う。
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