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マンガ家Mの日常
通常1〜2時間で終わる打ち合わせが何故ここまで長引いたか?

編集さんから電話とメールでお仕事のお話をいただいた時、
正直受けるかどうか迷っていた。
何故迷ったか?

ここ何年か自分自身の為の休みと言うものが取れていなくて、
精神的疲労が蓄積されていた。
なんとか少しまとまった休みの時間を作ったつもりでも、
何かの仕事を抱えたままの状態で、気持ちが安らげなかった。
生活や仕事の進路についてきちんと考える時間が欲しかったし、
溜まる一方の映画や本を消化したい、久々で旅行にも行きたい、
大きな枠組みで自分を見つめ直す作業が必要だった。
それで今の原稿があがったら、落ち着ける休養期間を取ろうと考えていた。
それが理由のひとつ。

もうひとつ、こちらの方がもっと大きい問題。

立場上固有名詞を出しての記述が出来ないので、
分かり難い部分もあるかとは思いますが、ご容赦下さい。

最初の電話の後、見本誌を送っていただいて、ザッと拝見させていただいた。
...でも、これが自分のテイストに合うか、疑問だった。

雑誌なのでラインナップにはそれぞれ個性がある。
でも、とりあえず巻頭の作品がその雑誌の顔であり、編集部のイチオシで、
何年かの発行の過程で、おそらくそれが読者の求めるものであり続けた。
どういう作品を読みたいか、それがあって読者は雑誌を購入するのだから、
必然的に、雑誌によって読者のタイプが限定される。

だとすると、私の作品の方向性とは異なる。

雑誌には色々なパターンの作品が掲載されるので、
他のマンガ家さんの作品は一切気にしない、自分は自分、という考え方も当然ある。
でも、そう単純な話ではない。

自分としては良い作品を描いたつもりでも、
雑誌の中心的カラーに合致した作品でなければアンケートが取れず、
出版社からは低い評価が下されてしまう。
そうなると、当然切られるか、方向修正を求められる。

中途半端な状況で切られると、コミックス発行にも繋がらないし、
そこの雑誌でのキャリアも築く事が出来ず、先々の良い仕事に繋がらない。
かと言って、方向修正が自分の傾向と違うものであれば受け入れ難い。
仕事上編集さんの指示通りに変更しなければならないものであるが、
それが納得いくものだとは限らず、良い結果を生み出すものだとも限らない。
むしろその逆になるケースも多いし、
何と言っても、納得いかない作品を描いてしまった後悔は言い難いものがある。

作家にとって作品は我が子。
不健康な状態で不健康な子供を産む辛さ。

(もう少し続く。)

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