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マンガ家Mの日常
原作の選定に関してのコメントをいただいたので、
もう少し詳しく書きますね。
あくまで私個人の場合で、それぞれの会社、編集部、あるいは
マンガ家さんによって 異なるケースもあるかとは思いますが。

角川書店で横溝正史作品を描かされた時は、作品の条件としては
「映画などになっている有名な作品。」でした。かなりアバウト。
当時の担当さんが他の仕事で忙しくて、ド新人をかまってられないようで、
金田一ものですらない作品をあわてて買って 何冊か渡されたのみだったので、
自分で本屋さん廻って探して来ました。
良くも悪くも、かなり自分の裁量でやらせていただきました。

秋田書店では 主に内田康夫作品が待っていました。
角川書店の二番煎じ的な企画でしたけど...。
2、3冊渡されてその中から選ばせてもらえた時と、
決められたものを渡された時とありました。

内田康夫作品では無かったんですけど、別のある作家さんの作品で、
これは少女マンガには無理だな、って抵抗した事があって、
でも、担当さんが聞き入れてくれなくて 無理押しされた事もありました。
結局それは企画自体がポシャったようで、描かずに済んでホッとしました。
編集者のこだわりって、商業誌としての判断を鈍らせるみたい。

加えて、当時の編集者の中には、女性のマンガ家を低く見て、
推理小説の大先生にすり寄りたがってた人もいたんですよ。イヤでしたね。
(だったら、そういう出版社に移れば、って話なんだけど。)
推理小説の名作って、読者は既に小説で読んでるから、
小説の読者がマンガを読むとは限らなくて、
マンガはマンガの読者向けに作られるべきで、
そういう原作を探すとか、原作者を育てるとかした方が良いのに、
なんか、発想がズレてた。

ハーレクインでも、まず何作か担当さんが選んで下さって、
それを読んで、最終的にはこちらで判断させていただいています。
私があらかじめ何千、何百の数を読みこなしていれば、
こちらから「これが描きたいです。」と言えるし、
本来はそうあるべきかもしれませんが、
原作が無数にあって、それぞれ契約の問題もあるし、
マンガ化の企画も無数に同時進行しているので、
マンガ家の側からは全体像を把握できません。
ガイドライン的なものを担当さんに示していただく、今の進行方法が
ベストなんじゃないでしょうか。

...スルッと合う作品に出会える時もあれば、今回のように難航する時もある。
それはそれで仕方ないですね。
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