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マンガ家Mの日常
新聞朝刊を開いて、朝から軽いショックを受けた。

「ロダンのココロ」の作者、内田かずひろ先生が一時期ホームレスになった、
という記事が、ご本人のインタビューを交えて掲載されていた。

「ロダンのココロ」は朝日新聞(土曜日版?)に掲載され、
その後も「週刊朝日」等で連載が続いていた。
ラブラドール・レトリバーの老犬ロダンと飼い主一家の
ほのぼのした日常を描いた4コマ作品。

新聞連載というのは、かなりタフな仕事で、メジャーの証でもある。
そうした仕事をこなして来たベテランマンガ家が、何故ホームレスに?

新聞に限らず、雑誌でも、
何らかの事情で連載が打ち切られるケースは枚挙にいとまが無い。
「ロダンのココロ」の場合は、打ち切りといったような
残念なケースでは無いように思うが、連載はいつかは終わるし、
内田先生からの事情だった事も考えられる。

記事によれば、制作中の絵本の企画があり、原画展も予定されていた。
仕事は続けておられて、作品の評価が下がったわけでもなかった。
それなのに、何故?

一つには、出版不況の過酷な現状。
一旦連載が終了すると、すぐに次が決まり難い。
ただ、内田先生に仕事の依頼が無かったとは思えない。
絵本の制作に没頭されておられたそうなので、
おそらくは、職人仕事のスローペースさが主な理由なのだろう。
作家にはそれぞれの世界があり、それぞれのペースがある。

あえて一つ、分かり易い理由を探るならば、
4コママンガの原稿料の設定もあるかもしれない。
4コマは絵柄こそ軽いものが多いが、アイデア勝負という意味では、
一つ一つの作品が長編のストーリーマンガと同等の芯が必要。
気力の消耗は半端じゃない。
ところが、雑誌等によって事情は少し異なるかもしれないけれど、
1枚当たりの原稿料は、ストーリーマンガと大きく変わらないと聞いた事がある。

ストーリーマンガの場合、話の流れで絵を当てていけば良いページもあり、
たまに酷い作品では、1ページの大半が、ただスクリーントーンを貼っただけ、
というのも見た事がある。
勿論、あからさまな手抜きを続けていたら仕事が来なくなるだろうが、
そんなページでも1万円そこそこの原稿料が支払われてしまう。
4コママンガには、そういう「抜き」のページが無い。
4コママンガのアイデア料に、もっと価値が認められても良いように思う。

福祉事務所で生活保護を求めたが、仕事の枠組みがネックになり、
申請が通らなかったとあった。
フリーランスの仕事に対する行政の見解は厳しい。

その後、情報を公にする事で支援が集まり、絵本も無事完成。
原画展も成功し、経済的に少し持ち直されたらしい。

穏やかな作品を必要としている読者も多いと思う。
内田先生が安心して制作に打ち込める環境を得られるよう、
読者の一人としても願っています。
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