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マンガ家Mの日常
残念ながら「黒」ですね、個人的感想としては。

どの時点でそう思ったかと言うと、
最初の会見の時に、デザイン理念の違いとかを語ってはいたけれど、
制作の工程についての説明が無かった点。

最初から完成形が出て来る訳では無いので、
オリジナルであれば何らかのアイデアの熟考の段階がある筈。
デジタルではどうなっているのかな、とは思うのだけど、
アイデア段階の制作過程等をきちんと示せれば、
例えどんなに似通っていたとしても、オリジナル作品だと胸を張って言える筈。
デザインの試作品か、せめてその理念とやらについてのメモ書きでもあれば
まだ認められる余地はあったのかもしれないけど。

当初、相手方のベルギーのデザイナーも、
「自分のデザインを見たのが記憶の中に残っていて、無意識に使ったのかも。」
といった穏やかなスタンスを示してくれていたものの、
事が大きくなったからか、提訴の形に進んでしまった。

新国立競技場が白紙撤回なんだから、こっちも早めに白紙撤回しなきゃだね。
日本のオリンピック委員会としては、「盗用」とまではしなくても
ここまで似た作品が他に見つかるのは、独創性に欠ける、とか
何か尤もらしい理由を見繕って。

それにしても、サントリーのトートバッグの図柄の盗用については
お粗末としか言いようが無い。
部下に丸投げしてたのも問題だけど、
仮にもサントリーのような大企業のグッズ制作で、
図柄のパクリをするなんて、クリエイターとしてまともな神経があるとは思えない。
試作品とかプレゼンの段階でなら、有り物の素材を使う事はあるとしても、
実際の制作段階では、自分自身の作品で見せたいのが普通の感覚の筈。

こうした大きな問題が起きた事を機に、著作権について衆知が広まるのが望まれる。

で、ふと思い出した。

もう10年以上前になるのかな。
とある歌詞について、松本零士先生が自作からの盗用では、と、
有名シンガーソングライターと裁判沙汰になった件。

松本先生は裁判までするつもりは無くて、先のデザイナーと同様
「見たものが記憶に残っていたのでは?」という納め方をしようとしていたのだけど、
相手方が「自分のオリジナルだ。」との主張を強めて来た為、
裁判せざるを得なくなってしまった。

で、これはまさかと思ったのだけど、松本先生が敗訴してしまったのよね。

これを前例とすれば、今回の日本のデザイナーも「白」って事になるね。

盗用を公に認めれば社会的信用も落ち、クリエイター生命に関わるので、
すんなり「はい、パクリました。」とは言えないだろうけど、
どっちの件についても、もう少し良い落とし所は見つからなかったのかな。



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