8月、月が改まったところで 将来に向けての決意表明みたいな事をやってみる。
「ミレニアム3部作」私が紹介記事を書くまでもない大ベストセラー。
スウェーデンのジャーナリスト、スティーグ・ラーソンによるミステリー作品。
ラーソン本人を一部反映させたようなジャーナリストと 天才ハッカーの女性が
過酷な運命に翻弄されながらも、やがて政界の闇を暴く。
3部作、各上下巻合わせて6冊の長大さ、
また、日本人にはややなじみの薄いスウェーデンの政治機構が深く描かれていて、
そのあたりの難しさもあって、全編読みこなすのにはかなりな時間を要した。
長めの休暇を全部注ぎ込むくらいの覚悟が要るけど、
そうする価値のある作品だと言える。
(知人は1巻の頭でストップしてしまって、そのうち映画が公開されて
WOWOWで全部放映されたので それで見て済ませちゃったらしいです。)
この作品の魅力については 日を改めて語り尽くすとして、
決意表明に話を戻す。
今、ハーレクインを中心として 仕事をやらせてもらっている。
以前にも少し書いた通り、これまではミステリー物中心で
恋愛物は殆ど描いて来なかったので 始めの内は不安が大きかったのだけど、
自分自身いくらか長く生きていく中で 人との関わり方について学ぶ事もあり、
心の機微も少なからず感じ取れるようになってきたのか、
なんとか 恋愛の中での感情の起伏ややり取りも描く事ができて、
懸念していたような事もなく 仕事を楽しめている。
ありがたいのは、殺人シーンを描かなくて良い事。
ミステリーって、まず殺人ありきで、
フィクションでエンターテインメントだと理解はしていても
残酷なシーンに取り組まなければならないのは 時々かなり辛い。
原作物だったりすると、謎の連続殺人を演出する為に
事件の本質と関係の薄い人物や 全く善良な人までが
無惨に殺されたりする設定も多くて、正直それを描くのはしんどかった。
人がゲームの駒のように扱われて殺されて良い筈がないから。
母が他界した後、残った家族の関係性が大きく変わってしまって、
以来、一人の人間の死が周囲にもたらす影響というものを
より強く意識するようになった。
TVドラマを見ていても、
犯人の逃走中に 通りすがりの人がいきなり犠牲になったり、
仕事とはいえ 警備員が出会い頭に撃たれてあっさり死んじゃったりする。
そういうのって、事件の本質とは何の関係も無くて、
犯人の残虐性を際立たせたり、事件の大きさを示す為に仕込まれたエピソード。
演出としては確かにそうなんだけど...、
主役の位置づけに比べると 全く社会的貢献度の及ばないヒラの警備員だって、
家に帰れば誰かの子であったり親であったりする訳で、
その人の家族は深い悲しみに覆われて この先の人生を送らなければならない。
子供は親を亡くした事で 人生を踏み外してしまうかもしれない。
...そうした、人が背負っている人生を見やらずに
物語の面白さの為に人を殺す事に、しばしば違和感を感じてしまう。
(それを話したら「サスペリア」の編集さんは 一言、
「殺人シーンを描くのが嫌ならミステリーを描くな。」だって。
...むやみやたらに人を殺せば読者が喜ぶってもんでもないでしょう?)
で、どうしても話が長くなっちゃってるんだけど、
今は殺人とは無縁のロマンスを描いていられるのがありがたい。
(ハーレクインの原作は万を越す豊富さだから、中には
事件性のある内容を扱った作品もあると思うのだけど。)
でも、ところが、
「ミレニアム」のような構築の大きな作品に触れると、
こうした作品に挑戦したい気持ちがフツフツとわき起こる。
...現実はかなり厳しくて、そんな構想の大きな作品は
余程のヒットメーカーでなければやらせてもらえない。
長いページを取るし 万が一アンケート低くてもおいそれとは切れないから、
リスクを考えれば当然の判断なんだけど。
でも、何とかならんかなぁ、
どっかに太っ腹の編集さんおらんかなぁ。
前に「ホラーM」で「ポー・ド・ルルスの娘」を描かせてもらった時も
そうした構築性のある作品を描きたくての事で、
描かせてもらえて嬉しかった反面、ページが足りなくてキツかった。
オリジナルだと企画が通りにくい事がしばしばで、
会社としては数字の見込める原作物に傾く。
「ミレニアム」についても編集さんに話してみたりしてる。
ミステリー好きの編集さんは絶賛派だけど、
だからって すぐ描かせてもらえる訳も無く。
「ミレニアム」は本国スウェーデンで映画化されて、
ハリウッドでのリメイクも進んでる最中だから、
それを描かせてくれって言っても、(マンガ家が誰であれ)
著作権者側も販売戦略的に考えて O.K.は出してはくれないだろうけどね。
日本の版元が早川書房で、ここは特に厳しいって聞いた事もあるよ。
でも、でも、とりあえず書いておく。
原作物やるんだったら 是非「ミレニアム」描きたいです。
「ミレニアム3部作」私が紹介記事を書くまでもない大ベストセラー。
スウェーデンのジャーナリスト、スティーグ・ラーソンによるミステリー作品。
ラーソン本人を一部反映させたようなジャーナリストと 天才ハッカーの女性が
過酷な運命に翻弄されながらも、やがて政界の闇を暴く。
3部作、各上下巻合わせて6冊の長大さ、
また、日本人にはややなじみの薄いスウェーデンの政治機構が深く描かれていて、
そのあたりの難しさもあって、全編読みこなすのにはかなりな時間を要した。
長めの休暇を全部注ぎ込むくらいの覚悟が要るけど、
そうする価値のある作品だと言える。
(知人は1巻の頭でストップしてしまって、そのうち映画が公開されて
WOWOWで全部放映されたので それで見て済ませちゃったらしいです。)
この作品の魅力については 日を改めて語り尽くすとして、
決意表明に話を戻す。
今、ハーレクインを中心として 仕事をやらせてもらっている。
以前にも少し書いた通り、これまではミステリー物中心で
恋愛物は殆ど描いて来なかったので 始めの内は不安が大きかったのだけど、
自分自身いくらか長く生きていく中で 人との関わり方について学ぶ事もあり、
心の機微も少なからず感じ取れるようになってきたのか、
なんとか 恋愛の中での感情の起伏ややり取りも描く事ができて、
懸念していたような事もなく 仕事を楽しめている。
ありがたいのは、殺人シーンを描かなくて良い事。
ミステリーって、まず殺人ありきで、
フィクションでエンターテインメントだと理解はしていても
残酷なシーンに取り組まなければならないのは 時々かなり辛い。
原作物だったりすると、謎の連続殺人を演出する為に
事件の本質と関係の薄い人物や 全く善良な人までが
無惨に殺されたりする設定も多くて、正直それを描くのはしんどかった。
人がゲームの駒のように扱われて殺されて良い筈がないから。
母が他界した後、残った家族の関係性が大きく変わってしまって、
以来、一人の人間の死が周囲にもたらす影響というものを
より強く意識するようになった。
TVドラマを見ていても、
犯人の逃走中に 通りすがりの人がいきなり犠牲になったり、
仕事とはいえ 警備員が出会い頭に撃たれてあっさり死んじゃったりする。
そういうのって、事件の本質とは何の関係も無くて、
犯人の残虐性を際立たせたり、事件の大きさを示す為に仕込まれたエピソード。
演出としては確かにそうなんだけど...、
主役の位置づけに比べると 全く社会的貢献度の及ばないヒラの警備員だって、
家に帰れば誰かの子であったり親であったりする訳で、
その人の家族は深い悲しみに覆われて この先の人生を送らなければならない。
子供は親を亡くした事で 人生を踏み外してしまうかもしれない。
...そうした、人が背負っている人生を見やらずに
物語の面白さの為に人を殺す事に、しばしば違和感を感じてしまう。
(それを話したら「サスペリア」の編集さんは 一言、
「殺人シーンを描くのが嫌ならミステリーを描くな。」だって。
...むやみやたらに人を殺せば読者が喜ぶってもんでもないでしょう?)
で、どうしても話が長くなっちゃってるんだけど、
今は殺人とは無縁のロマンスを描いていられるのがありがたい。
(ハーレクインの原作は万を越す豊富さだから、中には
事件性のある内容を扱った作品もあると思うのだけど。)
でも、ところが、
「ミレニアム」のような構築の大きな作品に触れると、
こうした作品に挑戦したい気持ちがフツフツとわき起こる。
...現実はかなり厳しくて、そんな構想の大きな作品は
余程のヒットメーカーでなければやらせてもらえない。
長いページを取るし 万が一アンケート低くてもおいそれとは切れないから、
リスクを考えれば当然の判断なんだけど。
でも、何とかならんかなぁ、
どっかに太っ腹の編集さんおらんかなぁ。
前に「ホラーM」で「ポー・ド・ルルスの娘」を描かせてもらった時も
そうした構築性のある作品を描きたくての事で、
描かせてもらえて嬉しかった反面、ページが足りなくてキツかった。
オリジナルだと企画が通りにくい事がしばしばで、
会社としては数字の見込める原作物に傾く。
「ミレニアム」についても編集さんに話してみたりしてる。
ミステリー好きの編集さんは絶賛派だけど、
だからって すぐ描かせてもらえる訳も無く。
「ミレニアム」は本国スウェーデンで映画化されて、
ハリウッドでのリメイクも進んでる最中だから、
それを描かせてくれって言っても、(マンガ家が誰であれ)
著作権者側も販売戦略的に考えて O.K.は出してはくれないだろうけどね。
日本の版元が早川書房で、ここは特に厳しいって聞いた事もあるよ。
でも、でも、とりあえず書いておく。
原作物やるんだったら 是非「ミレニアム」描きたいです。
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