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マンガ家Mの日常
LINEスタンプ企画でデザイナーさんに絵のデジタル処理をしていただいて
ふと気になった。
やはり、デジタル画面にノリの良いタッチとそうでないものとがある。

これは雑誌のマンガをアニメに起こす場合も同様。
昔の少女マンガはアニメにするとバランスが悪くてダメだった。
マンガの有機的な絵が、アニメのプラスティック感にそぐわない。
「ベルばら」では大分タッチを調整していたようで、その後
「セーラームーン」ではアニメーターさんが頑張ったお陰で大成功に繋がった。

最近では、アニメを見てマンガを描き始める人も多く、
雑誌のマンガにも、アニメと同じようなタッチの絵が増えて来た。
そういうマンガはアニメになった時に画面のノリが良いので、アニメにし易い。

ただ、そういう絵が氾濫して来たようにも思う。
マンガ雑誌の表紙を見た時、アニメ専門雑誌と変わらない。

マンガは素人発祥の文化なので、多くのマンガ家志望者は誰でも、
子供の時の人真似から入る。
長じて次第に自分の個性を確立させて行く。

ところが、アニメの絵から入った人は、絵の基本にアニメが刻まれてしまって、
そこからオリジナルの絵に発展していかない傾向があるように感じられる。
それで何とかなって行くから。
読者もアニメで育った人達が多く、
アニメの絵の作法がマンガだとして受け入れてしまっている。

人真似から入るのが上達の近道なので、ある時期まではそれで良い。
でも、プロになる事を意識した時点で、オリジナリティも意識して欲しい。
同じような絵ばかりで見分けがつかないし、
同じような絵であれば、マンガ家の入れ替えが簡単になされてしまう。
誰でも良いって事。


日本のマンガやアニメがクールジャパンと言われて海外で評価されて久しい。
ただ、コスプレの様子等を見ていると、
海外で受けているものは、アメコミ的なバトルヒーローものばかり。
アメコミの下地が出来ているから、そういうものが分かり易いのだろう。
海外のファンが日本のマンガのドラマ性の真価を
完全に理解するところまでは行っていないように思える。
アメリカやフランスにも、バトルものばかりではなく、情緒的な作品もあるが、
そうしたものは芸術的に捉えられ、一般の読者には浸透していないのか。

元より少年誌ではその傾向が顕著だけれども、
バトルヒーローものが受けるというデータがあれば、当然ながらそれが量産される。
クールジャパン、日本のマンガイコールバトルヒーローと誤解されかねない。
出版社はそれ以外のジャンルについてももっと拡げて行って欲しい。

個人的に辟易とさせられる時がある。
近々「ドラゴンボール」のアニメ映画が公開されるそうだけど、
主人公の筈の悟空が戦う時の、怒りと憎しみに満ちた表情が好きになれない。
作者の鳥山明先生が最初に予定していた通り、
子供時代で連載が終わっていてくれれば、どんなに素敵なマンガだったろうか。

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