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マンガ家Mの日常
原稿料ゼロではとても仕事はできない、
そうYさんに伝えた後、連絡は途絶えました。
会社としては交渉の余地もなかったんだろうね。

それから何ヶ月経ったか、
最初の担当だったMさんから電話があり、
デジコミについて話をしたいとの事で、後日待ち合わせをしました。

以前「ホラーM」で描いた他の作品についても
デジコミで配信したいとのお申し出でした。
有り原(ありげん:既に描かれた原稿の事)であれば
原稿料が再度発生するものでもないし
(本当だったら2次使用料があっても良い筈なんだけど。)
作品が場を変えて改めて読者の目に触れるのは
作者にとっても喜ばしい事なので、異存ありませんでした。

候補として挙げられたのが、「キアラ」の少し前に短期連載された
「ポー・ド・ルルスの娘」という作品。

この作品についても また別に記事を書ければと思いますが、
とりあえずここで簡単にご説明します。

ストーリーは現代物ですが、
歴史を背景にした絵画ミステリーで、
「キアラ」を気に入って下さった方には こちらもお勧めです。
連載前の打ち合わせの時、全体の具体的なストーリーは出来上がっていて
それをMさんにお見せしたのですが、
ストーリーを描ききるのに必要と思われる
半分のページしかもらえませんでした。
Mさんとしては、単行本1冊にまとめたいとの事で、
マンガ家の立場としては それ以上の決定権もないので、
その枠組でなんとか描く事にしました。

最初から最後まで既に構築されたミステリーなので、
話を半分に切る訳にもゆかず、
2倍3倍の内容を納める為、毎回ネームで 計り知れぬ苦労がありました。

話を詰め込めば 年少の読者には当然わかりづらくなる。
連載中はなかなか人気が上がりませんでした。
雑誌自体が読み切り中心で、
読者が連載を読む事に慣れていなかった点もあったかもしれません。

単行本1冊にまとめるから、という話だったから
こちらとしても 無理して話を詰めていたのですが、
結局単行本にはしてもらえませんでした。

その作品を描かせてもらえた点については感謝しているものの、
非常に不完全で悔いの残る作業を強いられた点については
作家としては納得のいきかねるものがあります。

今回改めて「ポー・ド・ルルスの娘」がデジコミの候補に挙がったのは
デジコミの読者がまとまった長さのある作品を求めているからだそうです。
...、だったら、それこそ、何でページを削らせた。
そりゃあ 当時はまだデジコミは念頭になかった。
でも、いつの時代でも、まずクオリティの高い作品作りが重要な筈。
そこさえしっかりしておけば 時代の変化に慌てる事もない。
なんでそこを考えてくれないんだろう。

編集者は作家と違うからね。
会社から目の前の結果を求められる。

デジコミにするのは良いとして、
やはり相応の加筆補正が必要と思われたので、そう伝えたところ、
「元のゲラ刷りからデジタル化したい。
 経費がかかるので 加筆補正は受け入れられない。」
との 返事でした。

続く。
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