忍者ブログ
マンガ家Mの日常
何だかとっても地味な映画。
主演のブルース・ダーンがアカデミー賞にノミネートされてなかったら、
正直菜ところ見なかったかもしれない。

アルツハイマーが進み始めたウディは
雑誌広告でありがちな「100万ドル当選しました。」の手紙を信じ込んで、
ネブラスカのリンカーンという町まで賞金を受け取りに行く、と言い出す。
次男のデヴィッドは父親を納得させる為に、仕方無く旅に連れ出す。

田舎町モンタナから田舎町ネブラスカ、リンカーンまでの道程。
途中、ウディの実家がある町に立ち寄り、親族や昔の知人達に出会い、
デヴィッドは父親の知りたくなかったような過去の話まで聞かされる羽目になる。
不毛な旅ではあるが、父親の人生について知り、家族の結びつきを見出し、
ささやかながら最後であろう親孝行も出来た。

全編白黒。
朝鮮戦争に徴兵された話も出るところから、老人達はおそらく80代半ば。
平均年齢がやたら高い作品。
時が止まったようなアメリカの田舎町の光景。
旅の途中、ラシュモア山の大統領の顔面レリーフを見物するシーンがある。
目的地の名前もリンカーン。
アメリカ人ならその辺りで色々思うところがあるのかな。

映画会社はキャスティングの段階で有名俳優の起用を考えていたけど、
結局、ひたすら地味な顔ぶれに決まった。
地に足の着いた等身大の物語という点では、それで良かったのかな。
ちょっと「レインマン」を連想した。

ウディの妻ケイトのキャラクターが良かった。
若い頃は美容院を経営したしっかり者で、口うるさい。
若い頃のモテ自慢はえぐい。
しかし、いざとなれば夫を守る根性の太さを見せる。
中南部の女性ってこういう感じなのかな。

デヴィッドはそこそこいい歳になるのに、同棲していた恋人に逃げられ、
結婚に至らない。
この元恋人ってのが、どっかり太った女性で、美人でも何でも無い。
どーしてこの女にフラれるんだ、情けない。
映画ならばフツーはもうちょっとキレイどころを出すもんだろうが、
あくまで庶民のリアルを追求。
でも、とりあえず電気店の店長で、暮らしに困らない程度の稼ぎはある筈。
地味ながら親孝行も出来た。

ささやかな人生を大事にするところに幸福がある。

PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック