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マンガ家Mの日常
同窓会的な集まりだとかで、マンガの仕事について話をされると 時々困る。
別に、興味がないなら 無理して話そうとしてくれなくてもいいんだけど、
私に合わせようと気を遣ってなのか、
なんとなく興味があるのか、みたいな体で話してこられると、それも困る。
というか、あまり気分の良い事ではない。

「どこで連載してるの?」...って、連載取るのがどんだけ大変な事か、
「何処で描いてるの?」...って、それを聞いて来るって事は、
自ら本を探して読む気はないって事なんだよな。
(教えるのは構わんが、聞いたからには本買えよな!)
誰かが本を持っていてくれたとして、あからさまに貸し借りされると 
作者としては かなりツライ。
厳しい生存競争を戦い抜き、赤字覚悟で骨身を削って描いたものなんだよ、
それを、只で見て済まさないで。
(せめて、「探したけど見つからなかった。」ふりくらいしてくれな。)

マンガ家じゃないんだけど、以前ある作家が
発売直後の自著を 半年間程度 図書館に置かないよう 要請した事があった。
確か、それなりに有名な賞なども受賞した作家だった筈。
売れなくて苦しい時代を乗り越えて、
やっと世に認められるようになったところで、
図書館ばかりで本が読まれたら、部数が伸びず、印税も入って来ず、
どんなに苦労して良い作品を書いたとしても、
プロの作家としての生活が成り立たない。

教養は互いに分け与え、伝播させていくものであるかもしれない。
でも、それを新しく作り出す側にだって 対価を得る権利がある筈。
農家の方が1年中炎天下に灼かれて作ったお米だとか、
漁師さんが危険と隣り合わせの海で獲って来た魚だとかを、
我々はお店から只で取ったりしないでしょう。

さてさて、ところが、
少女マンガとは一見縁遠いような男性の方が、ありがたい事に、
気軽に ネットで調べて本を買ってくれたりする。
もしかすると、ホントはスゴく少女マンガが好きで、
これまで買うきっかけがなかっただけかも? ...なんてな。

往々にして、男性の方が、趣味や教養に気軽にお金を使う傾向にあるみたい。
話をしていても、女性(専業主婦に限らず)が家庭の話題中心なのに対して
男性は仕事と趣味の話題が多い。
それは決して、家庭を大事にしていないというのではなく、
安心して家庭を妻にまかせていられるからなんだろう。

...女性の方が経済観念が厳しいんだろうねぇ...。
専業主婦は家計を預かる立場だし、
働く女性は賃金の男女格差に悩まされてるから。

でも、マンガの本って5,600円程度なんだから、
(これは戦後の物不足の時代に 子供達に安価で娯楽を提供してきた流れで、
 ここまで経済成長した世の実情と マンガ家の労働量を考えると、
 作品に敬意を払って、もっと値段を高くしても良い筈だと思う。
 なまじ数売れるから、出版社も薄利多売で成立しちゃって、
 マンガそのものに対しての価値を安く見る傾向を助長しちゃったんだ。)
グルメや旅行、ブランドバッグ、スポーツジムだとかに
サクッと何万円も出す余裕のあられる向きには、
そこんところヨロシクお願いしたい。
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